よきサマリア人

登場人物

(祭司、レビ人、サマリア人は同時には舞台に登場しませんので、1人3役で可能です。)


ナレーター

イエス様はいつも、人々に神様のことを教えていました。ある日、「一番大切なことは神様を愛すること、その次に大切なことは、隣人つまり自分の周りにいる人を愛すること」と教えたあとで、集まっていた人たちにこんなお話をしました。

(次のナレーションの間に下手より旅人登場、よろけながら舞台中央奥に座り込む)
あるユダヤ人の旅人が道の途中で強盗に襲われました。強盗は旅人を殴りつけて大怪我をさせると、持ち物を全部とりあげて逃げてしまったのです。旅人はもう動けませんでした。

(次のナレーションの間に上手から祭司登場)
そこに、ひとりの祭司が通りかかりました。祭司というのは、ユダヤの国の神殿で神様のために働くお仕事をしている人です。きっとこの人が、旅人を助けてくれるでしょう。

祭司

おやおや、かわいそうに。でも助けようとして、神殿で神様のために働くこの服が血で汚れたりしたらたいへんだ。気づかなかったことにしよう。
(下手に退場)

ナレーター

(次のナレーションの間に下手からレビ人登場)
次に通りかかったのは、レビ人と呼ばれる人でした。レビ人はユダヤ人の中でも聖なる人たちと呼ばれて尊敬されている人たちです。この人なら、旅人を助けてくれそうです。

レビ人

おやおや、かわいそうに。でも誰も見てないから、この人を助けても誰もほめてくれないな。気づかなかったことにしよう。
(上手に退場)

ナレーター

祭司もレビ人も、いつもは「神様のために」と言っているのに、このかわいそうな旅人を助けようとはしませんでした。いつも「よいことをしなさい」と教えていても、自分でよいことをしようとはしない人たちだったのです。

(次のナレーションの間に上手からサマリア人登場)
すると今度は、ユダヤの国とはとても仲の悪いサマリアという国から来た外国人が通りかかりました。

サマリア人

あれ?誰か倒れてる。きっと強盗に襲われたんだ。大丈夫かな。

(旅人に近づく)
なあんだ、いつもぼくたちサマリア人を馬鹿にして差別してばかりいるユダヤ人じゃないか。だったら助けてなんかやるもんか。

(旅人を横目で見ながら通りすぎかかる)
ひどい怪我だな。放っておいたら、このまま死んじゃうかもしれないぞ。おーい、誰かユダヤ人はいないのかよ。仲間が大変なことになってるぞお。
(周りを見回す)

いないか、まあしょうがない。運が悪かったんだね。
(下手に退場しかける)
しょうがないでいいのかな。あのままじゃ、本当にあぶないぞ。でも相手はユダヤ人だし、助けたくないよなぁ。

(旅人、舞台奥によりかかるように座っていたが、倒れる)
おい、ちょっと!ああもうしょうがない、わかったよ、次の村まで連れてってやるよ。

(次のセリフを不平のようにつぶやきながら、旅人に肩を貸し二人で下手に退場)
どうしてサマリア人のぼくがユダヤ人なんか助けなきゃいけないんだよ。まったく、なんて運が悪いんだ。

ナレーター

こうしてサマリア人は、仲が悪かったユダヤ人の旅人を次の村まで連れて行ってあげると、宿屋に泊めて、大金を宿屋に渡して世話を頼んでから立ち去ったのです。

隣人を愛するというのは、自分のことを大切にするように、自分の周りにいる人を大切にすることです。
倒れていた旅人のところに、神殿のえらい祭司と、みんなから尊敬されているレビ人と、外国人のサマリア人の3人が通りかかりましたが、この中の誰がこの旅人の隣人になったと思いますか?
イエス様はこのお話の最後にこういいました。「行って、あなたも同じようにしなさい」

[了]