熱闘!ブロンコス1996

第14回:第12週


レギュラーシーズン第12週。

NFC東地区。最近の傾向から予想すれば、ダラス・カウボーイズの独走地区優勝というのが妥当なところであっただろう。がしかし、サンフランシスコ・49ersとNFC代表の座を争うはずのそのカウボーイズは、シーズン前半だけで3敗という不調ぶりであった。そのために第12週終了時点で地区優勝争いは、フィラデルフィア・イーグルスに勝って4年ぶり地区首位のワシントン・レッドスキンズ(7-3)、イーグルス(7-3)、カウボーイズ(6-4)の三つ巴の様相となりつつあった。

その熱い戦いとは無関係に熾烈なブービー争いを展開しているのが、ニューヨーク・ジャイアンツとアリゾナ・カージナルスである。ともに今シーズン4勝6敗の両者が今週、カージナルスのホームフィールドで直接対決した。負けた方が単独最下位となるこの対戦は、ジャイアンツが、先々週の勝利も含めて過去69勝36敗2分け。しかし先週第11週は、ジャイアンツがカロライナ・パンサーズに軽くひねられたのに対し、カージナルスは地区首位のレッドスキンズに延長の末に土をつけているのだが。

試合の鍵を握ったのは、ブーマー『流れ者』アサイアソンだった。元シンシナティ・ベンガルズのQBとして、第23回スーパーボウルで49ers相手に、スーパーボウル史上に残る屈指の名勝負を繰り広げ、惜しくも破れはしたものの存在を全米にアピールした。

その後ニューヨーク・ジェッツに移籍。しかしジェッツのチーム状態は、アサイアソン一人加入したからといって改善できるものではなく、今季からカージナルスに移籍。ここでも開幕3連敗の責任をとらされたのか、グラハムの控えに回されていたが、グラハムの負傷で久々の出番となった先週のレッドスキンズ戦ではNFL史上3位になるパッシングヤード522という調子良さだった。そして今週も、タッチダウンパスを2本通すなどの大活躍。この男、まだまだ沈みそうにない。

一方のジャイアンツはこれで4勝7敗。来週は、不調ながらもディフェンディングチャンピオンのカウボーイズ戦である。早くも今季負け越しが近づいてきた。


地区の上位と下位で別次元となっているのは、NFC西地区も同じだった。地区首位とはいえ8勝3敗のサンフランシスコ・49ersに対して、カロライナ・パンサーズが7勝4敗と、創立2年目のチームとは思えない勢いで、ヒートアップしている。

一方で、そのパンサーズに負けたセントルイス・ラムズが3勝8敗。さらにその下の、2勝のニューオリンズ・セインツが、1勝のアトランタ・ファルコンズの相手だった。

はっきりいって、弱小対決である。

勝ちたいという欲求は、勝てば単独ビリから4位タイになれるファルコンズの方が、わずかばかり強かったらしい。ファルコンズの守備は、ここまで10試合で1回しか相手のパスをインターセプトしていなかったが、今日だけで2回もインターセプトを決めるなど、セインツのオフェンスを15に押さえた。攻撃では、ランニングバックのエリック・メトカーフが今期初のタッチダウンを決めるなどで17得点。

「勝てるときに勝っておかないとね」

2勝目で大喜びする気もないめぐみだったが、とにかくこれで、全30チーム中ジェッツと並んでのドンケツ1勝組から脱出したのであった。来週、ラムズはパッカーズに勝てないだろうから、もしこれで来週のベンガルズ戦に勝てば3勝同士で地区3位浮上となる。

少々欲の出てきためぐみであった。


めぐみと西村の置かれた寒い立場に対し、デンバー・ブロンコスを押す正木とカンザスシティ・チーフスを押す水上は、なかなかに熱い。特に、ブロンコスの連勝がまぐれではないらしいと思い始めた正木は、乗りに乗っていた。

9勝1敗でリーグトップをひた走るデンバー・ブロンコスは、コルツの沈没によってプレイオフが見えてきたペイトリオッツ(7勝3敗)とアウェイで対戦、34-8の大差で一蹴した。

キーマンはNFLのリーディングラッシャーである、ブロンコスのランニングバックのディビスだ。先週、ルーキーの去年に続いて2年連続1000ヤーダーを決めていたが、この日も32回走って152ヤードを稼ぎ、これで100ヤードを越えた試合は今季6回目だ。

「ハードに走れって自分に言い聞かせていたんだ」とディビス。「1回タックルされたぐらいで倒されるんじゃないぞってね」

シーズンも押し迫ってくると、ドームではない青天井のスタジアムでは、パスの時に手元が狂いかねない。手がかじかむばかりでなく、皮製のボールがカチカチに硬くなって、滑りやすくなるのだ。自然とラン攻撃に頼るシチュエーションが多くなるので、ディビスの様な頼れるランナーがいるのは実に心強い。

10勝目一番乗りのブロンコスを追うカンザスシティ・チーフスの相手は、先週ブロンコスに破れているシカゴ・ベアーズだ。先週、スーパーボウル候補の呼び声高い好調グリーンベイ・パッカーズに土を付け、大いに盛り上がっているチーフスとしては、4勝6敗なんて成績でふらふらしているチーム相手など一蹴したいところ。

目標のあるチームとそうではないチームの差が出たと言うべきだろうか。チーフスのディフェンスは、ベアーズのラン攻撃をわずか35ヤードに押さえたし、最後はベアーズのタッチダウンパスをエンドゾーン内でインターセプトして、守備合戦のロースコアゲームを制した。

デリック・トーマスなどはベアーズのQBマーク・コリンズを2回もサックし、これでコリンズはフラン・ターケントンの記録を抜いて、NFL史上もっともサックされたQBになってしまった。

「にしても、どうしてこの守備力がブロンコス戦で出なかったのかなぁ」

勝って当然というふうで、水上がぼやいた。AFC西地区の第12週終了時点の順位は次の通りだ。残り5試合でブロンコスに追いつけるのか。

1位 ブロンコス 10勝1敗 (地区内4勝1敗)
2位 チーフス 8勝3敗 (地区内4勝2敗)
3位 チャージャース 6勝5敗 (地区内3勝3敗)
4位 シーホークス 5勝6敗 (地区内1勝4敗)
5位 レイダース 4勝7敗 (地区内1勝3敗)

次週(第13週)

ブロンコス
vsバイキングス(バイキングスのホームゲーム)
チーフス
vsチャージャース(チャージャースのホームゲーム)
ジャイアンツ
vsカウボーイズ(ジャイアンツのホームゲーム)
ファルコンズ
vsベンガルズ(ベンガルズのホームゲーム)

−To be continued.−

前へ 次へ