劇団I.Q150作品紹介&観劇記

夢幻少女’99

作品紹介

「一人の少女が突然、忽然と姿を消しました」ではじまるこの作品の初演は1987年。劇団の女優でだった「QPよしえ」の死を悼み、追悼公演として上演された。

スタジオ・イーストエイトを根城にする小さな劇団で、はじめて大役に抜擢されセリフの練習にいそしむ少女。そしてその恋。 男と女にすれ違いはつきもの。とはいっても、少女はただ途惑う。その途惑いが、さらにすれ違いを大きくしてしまう。 延々繰り返される、ただ4つのセリフ。「俺は男だから」「あたしは女だから」「お前は女だから」「あなたは男だから」 どちらも望んではいないのに、二人の距離が少しずつ大きくなっていく・・・

初演以来、劇団の本拠地であった仙台駅東口そばの通称”石蔵”(実際にも石蔵)で、12月初旬にQPよしえの命日をはさんで上演された。見料はとらず、客はQPよしえのために花を一輪持って集まった。
1992年、東京・下北沢のアゴラ劇場で行われた「世紀末大演劇祭」への参加で石蔵の外に出て以後、「夢幻少女」は”追悼公演”ではなく”I.Q150の作品”として歩きはじめる。

1995年、「夢幻少女II」として全面改訂され、公演を収めたライブビデオも発売された。1997年には「夢幻少女'97」として全面改訂され、新作「夜交花」および「星たちのメロディ3」とともに仙台演劇祭97に三作品を一気に持ち込む快挙(or暴挙?)を敢行。さらに「夢幻少女'98」「夢幻少女'99」と進化し続けてきた。


感想

毎年改訂を重ねてきたこの作品。見るたびに「作者が込めたものが前回よりはわかった」という気持ちと「前回よりわからなくなった」という気持ちが両方とも強くなる。考えてみると「今度はどう変わったのだろう」という視点ばかりになっていたんじゃないだろうか。たとえば、ある映画を見た後に、完全版のビデオを見るときの、作品全体に対する期待よりも、細部への興味関心ばかり肥大した目。
だから「夢幻少女をはじめて見る気持ちで」と意識して開演を待った。

芝居のことはよくわからないので、どう表現したらいいかわからないのだけど。今まで「QP由江とタコピー」という旋律に「若い恋人たち」というバックコーラスが添えられていると思っていたのが、「若い恋人たち」という旋律が「QP由江とタコピー」という通奏低音の上で歌っているように見えた。
考えてみれば、作者は何年も前から「追悼作品から、IQの作品へ」と言っていたのに、観てるほうだけ「追悼公演」ということにとらわれていたのかもしれない。QP由江は「物語は終わってしまっても、あたしはいつも始まりを待っている」と言っていたのに。

ところで、ずいぶん改訂を重ねてきた結果、「あの場面/あの演出を復活させてほしい」と思う瞬間がどうしても多くなってしまう。尺の問題もあるだろうし、作者も熟考の上で「今回の夢幻少女」があるのはわかる。映画の編集でも、話しを締めるためにあえて監督のお気に入りのカットを捨てたりするそうだしね。
それはわかるのだけど、一度、今までの全部をつっこんだ上演時間が5時間くらいの夢幻少女なんて、見てみたい気がする。演じるほうだけでなく観るほうも体力の限界を超えると思うけどね。