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SUPER BOWL XXXII WINNERDENVER BRONCOS |
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[スーパーボウル][ゲーム展開][ヒーローたち][パッカーズ][ブロンコスとスーパーボウル]
ラスベガスのオッズでは大差でパッカーズの勝利が予想されていた。確かに去年の優勝チームであり、オフェンスでは3年連続のリーグMVPとなったQBブレット・ファーブ、ディフェンスではリーグを代表するLBレジー・ホワイトを擁するパッカーズは、49ersやカウボーイズがもたつく中、今年も優勝候補の筆頭に挙げられてきた。しかし、その強さは絶対的とは見えなかったのも事実。
かたやブロンコスは、シャナハンヘッドコーチの下でチームを立て直し、去年は地区優勝、今年も開幕6連勝を含めて12勝と、実力十分。毎年引退がささやかれる37歳のエースQBジョン・エルウェイのためにと、チームが一丸となってここまで進んできた。
現地アメリカでも「たぶんファーブが優勝するんじゃないかな。でもエルウェイに優勝させてあげたいね」という声が大きかったが、最大で「14点差でパッカーズの勝利」という前評判ほどには実力差はないと思われた。
サンディエゴで前にスーパーボウルが行なわれた時の勝者ワシントン・レッドスキンズの当時のヘッドコーチであった、名将の誉れ高いジョー・ギブスのコイントス。勝ったパッカーズはレシーブを選択し、ブロンコスのイーラムのキックオフで第32回スーパーボウルが始まった。
最初のパッカーズの攻撃はレイベンスの右へのラン。しかしこれはブロンコスがきっちり止める。2&9でファーブはパスに出るが、早くもブロンコスディフェンスのブリッツが襲い掛かり、サック寸前。しかし次のプレーでファーブはフリーマンへのパスを通してダウン更新すると、レイベンスのランアタックを中心にボールを進め、最後はフリーマンへの13ヤードのタッチダウンパスであっさり先制した。
ちなみに過去のスーパーボウルでは、先制したチームの勝つ確率は7割以上だ。しかしブロンコスも負けてはいない。パッカーズのキックオフをヘブロンが32ヤードリターンして、自陣42ヤードと好位置からの攻撃。まずディビスのラン2回とパスキャッチでダウン更新。パス失敗によるピンチもあったが相手の反則に救われ、あとはディビスのランとエルウェイのスクランブルで前進。最後はディビスの今日ひとつめのタッチダウンランで同点に追いついた。
続くパッカーズの攻撃は、2プレー目にブロンコスのブラクストンがパスインタセプト。ターンオーバーの後は必ず得点するのが、相手にダメージを与える。ディビスのランを中心に前進し、最後はディビスのランとタッチダウパスをカバーするパッカーズディフェンスの隙を突いて、エルウェイがエンドゾーン右端へ1ヤードを駆け込み、スーパーボウル最年長記録となるタッチダウン。ブロンコスは14−7と逆転に成功した。しかしこのドライブで、ブロンコス勝利の鍵を握るディビスが脳震盪を起こし、サイドラインに退いてしまった。
パッカーズの3度目のオフェンスは自陣29ヤードから。しかしまたもブロンコスのブリッツがファーブに襲い掛かる。アトウォーターが左から突入し、ファーブを背後からサック。ファンブルしたボールを、右から進入していたスミスがリカバーし、またもターンオーバー。
敵陣33ヤードからのブロンコスの攻撃となったが、ヘブロンのラン、エルウェイのパスとも不発でダウン更新ならず。しかしイーラムが50ヤード(!)のフィールドゴールをほぼど真ん中に決め、17−7とリードを広げた。またもターンオーバーからの得点である。勢いづくブロンコスサイド。
しかしさすがはディフェンディングチャンピオンである。パントの蹴りあいの後、パッカーズは自陣5ヤードから約7分半かけて17プレー目にタッチダウンを挙げ、17−14と迫った。この時点で前半残り6秒。エルウェイ自慢の強肩でヘイルメアリーパス(だめもと)に出るかと思われたが、ブロンコスは無理をせず、3点リードでハーフタイムに入った。
ちなみにスーパーボウルでは、前半リードしたチームの勝率も7割を越えている。さて、先制したパッカーズが有利か、3点リードで後半に入るブロンコスが有利か。すべては、ハーフタイム中の作戦会議次第である。
第32回スーパーボウルのハーフタイムショウは、モータウンレコード40周年ということで、歌手がいっぱい出てきて歌ってました。(聞いた事があるのはBoys II Menくらいだったので、去年のハーレー軍団ほど個人的には盛り上がれなかったのだけど)。
ちなみにハーフタイム中、選手たちは控え室にいるため、ショウは見られないのです。ゲーム中観客席の上の方に陣取ってフィールド全体を観察しながら敵味方のプレイを分析しているスカウトからの情報をもとに、ハーフタイム中は大掛かりな作戦会議をしています。
この結果、前半と後半では全然違うチームのようにプレイスタイルがかわることもあるのだけど、さて今日の後半戦は?
後半はパッカーズのキックオフから。第2Qは控え室に下がっていたディビスがフィールドに戻り、ファーストプレイは左へ展開する。がしかしパッカーズのウィリアムスにヒットされてファンブルし、ターンオーバー。パッカーズはこれをフィールドゴールにつないで、17−17の同点に追いつく。
だがエルウェイの勝利への執念は、同点に追いつかれたくらいでは動じない。第3Q中盤、自陣8ヤードからのドライブをディビスのランを中心に進め、マキャフリーへの36ヤードパスでパッカーズ陣内に切り込む。エンドゾーンまで12ヤードに迫った3&6の場面では、フリーのレシーバが見つからないとなるや、必殺のスクランブル。左膝に6回、今季開幕前の肩の手術も含め、合計13回も体にメスを入れてきた37歳が、普通ならスクランブルに出たQBは怪我を避けて足からスライディングするところを頭からパッカーズ守備陣にダイブしてダウン更新。エルウェイの”今度こそ”の熱い思いに、チームも”エルウェイにスーパーボウルリングを”と熱く燃え上がり、ディビスの今日ふたつめのラッシングタッチダウンにつながる。24−17。
さらに直後のキックオフ。イーラムの蹴ったボールを、パッカーズの今日パスキャッチで活躍しているフリーマンが落球し、ブロンコスが敵陣22ヤードでリカバー。押せ押せムードの中、ビッグプレーの後はとどめを刺すのが定石とばかりに、エルウェイのパスがエンドゾーンに走り込んでいたスミスに飛ぶ。
がしかし、決まれば試合の流れは決定的というこのパスはパッカーズのロビンソンにインタセプトされ、エルウェイとしてはスーパーボウルの最多被インタセプト記録タイ(7回目、他にジム・ケリーなど)となってしまった。
危ないところをターンオーバーで逃れたパッカーズは、このドライブを、ブロンコスのパスインターフェアにも助けられて、フリーマンへの13ヤードのタッチダウンパスにつなげ、24−24の同点にまたも追いつく。
この時点で試合時間は残り13分半。しかしここから得点が動かなくなった。ブロンコス:ホールディングの罰退などでダウン更新なし。パッカーズ:2回のパス失敗などでダウン更新なし。ブロンコス:2回のダウン更新で敵陣に入るも、セカンド、サードダウンでパス失敗しパント。パッカーズ:ホールディングとフォルススタートの罰退で自陣10ヤードからパント。このパントはハーフウェーラインを超えず、パッカーズ陣内49ヤードでフェアキャッチ。ちなみにこの試合、両軍とも4回ずつのパントを蹴ったが、リターンヤードはともに0。両軍あわせても0ヤードというのはスーパーボウル最小記録だが、おそらく二度と破られまい(ロスがあるのか?)。
さて敵陣からのブロンコスの攻撃は、ディビスの左へ2ヤードのランで始まったが、このプレーでパッカーズにフェイスマスクの反則があり15ヤード罰退でボールオン32ヤード。エルウェイからグリフィスへの23ヤードパスなどでエンドゾーンまで8ヤードに迫ったところで2ミニッツのオフィシャルタイムアウトとなった。
ブロンコスは迷わずディビスにボールを持たせ、左へ駆け抜ける。しかしシャープがホールディングを取られ10ヤード罰退してファーストダウンやりなおし。ここでブロンコスはまったく同じプレーを選択し、ディビスが左へ。パッカーズ守備を突破し、エンドゾーン左すみに駆け込む。残り2分を切って勝ち越しのタッチダウン。ブロンコスベンチでニール・スミスが立ち上がって両手を挙げる。しかし審判はアウトオブバウンズのシグナル。惜しいところでパッカーズのウィリアムスがディビスに追いつき、残り1ヤードというところでディビスをサイドラインの外に出していたのだ。
だがこれはむしろ、ブロンコスに幸いした。1プレーでも余計にプレーするということは、数秒といえども試合の残り時間を消費することになり、パッカーズに焦りを与えられるのだから。残り1ヤードであれば、今季の、あるいは今日のディビスに突破できないことはない。次のプレーでハンドオフされたディビスは中央を突き、今日ラッシングで3個目のタッチダウン(スーパーボウル記録)を決めた。TFPも成功し、31−24。
あとで報道されたことだが、ディビスが一発で中央を突いてタッチダウンを決めたのは、パッカーズの作戦だったそうだ。パッカーズのホルムグレンヘッドコーチも、ディビスを擁するブロンコスにはエンドゾーンまで1ヤードならいずれ突破されると読み、時間を消費されるのをさけるために意図的にディフェンスラインに隙間を作らせたという。たしかにこの時点で残り時間は1:39あり、パッカーズのタイムアウトはまだ2回残っている。
キックオフをフリーマンがリターンし、パッカーズは自陣30ヤードからの攻撃。ファーブのパスが、フィールド中央近くまで上がっていたレイベンスに飛ぶ。しかし、タッチダウンだけは許さないぞと深めに守っていたアトウォーターとブラクストンがレイベンスに突っ込む。が、レイベンスは見事にキャッチし、左右から突っ込んだアトウォーターとブラクストンがレイベンスの頭の上で激突。そのまま二人とも倒れてしまった。ブロンコス陣内にボールが進んだところでの守備の要とも言うべき二人の負傷。暗雲?
しかし次のプレー、またもパスキャッチしたレイベンスにロマノウスキーが飛び掛かり、ノーゲイン。サイドラインを割って時計を止めることもできなかったため、パッカーズは後半2回目のタイムアウトを取る。残り1:11。レイベンスへのパスでダウン更新。ノーハドルで攻撃するパッカーズ。またもレーベンスへのパス。しかしこれは4ヤードしか進まない。残り42秒で、エンドゾーンまで31ヤード。セカンドダウンはフリーマンへのパス。しかしブロンコスのゴードンが飛び込み、パス失敗。サードダウンもブルックスへのパスが失敗し、4thダウンとなってパッカーズは最後のタイムアウト。ファーストダウンまで6ヤード、タッチダウンまで31ヤードという局面で残り時間は32秒。
追いつめられたパッカーズとファーブ。フォースダウンギャンブルはチュムラへのやや低めのパス。しかしそこへ突進したモブリーがボールをはたき落とした。突っ込んだ勢いのままガッツポーズで走り続けるモブリー。その回りでは、ブロンコスの面々がはじめてのスーパーボウル制覇に沸き返る。
最後はエルウェイがニーダウンし、残りの28秒を流して、アメリカ最大、全世界のフットボールファン最大の祭が終わった。
仲間に肩車されるエルウェイ。
ポール・タグリアブーNFLコミッショナーからロンバルディトロフィーを受け取った、ブロンコスのオーナーであるパット・ボウレンは言った。「これが言いたかったんだ。『こいつをジョン(エルウェイ)に』って」
最後の夢のためにパス守備が売りのパッカーズディフェンスを前に自慢の豪腕パスを封印し(22回投げ12回成功)、3年目のディビスに「頼むぞ」とすべてを託して自らは脇役に徹したが、ダン・リーブスを追いやってエルウェイのためのチーム作りをしてきたオーナーは、エルウェイこそブロンコスそのものであることをアピールして、栄光のロンバルディ・トロフィーをエルウェイに渡した。
3度スーパーボウルに挑んで跳ね返され、今回8年ぶりの挑戦でようやく念願の勝利を経験した、37歳、NFL15年目のジョン・エルウェイ。引退の花道か?「今はこの気分に浸りたい。落ち着いたら考えなきゃいけないだろうね」とだけ答えたが、家族会議で「パパの引退に賛成の人」と言ったら手を挙げたのはジョン自身だけだったそうだ。
全米でも最大のイベントであるスーパーボウルでは、試合終了直後に大統領から勝利チームのロッカールームに祝福の電話が入るのが恒例だったが、今年はなかった。”例の事件”で支持率が落ちているためか?
ブロンコスの地元デンバーでは、勝利に興奮したファンの一部が暴徒化する騒ぎ。スポーツバーなどで酒を飲みながら観戦していたらしい。もちろんこれはごく一部の話。地元紙は待っていたかのように号外を出した。
試合の数日後に吉祥寺の某アメリカンスポーツの店に行ってみたら、ブロンコスのグッズがほとんどない。店員の話では、試合終了直後から月曜日にも関わらず大勢の客が来たとか。隠れブロンコスファンが勝利で顕在化したのか、すばらしいゲームを見てブロンコスファンが急増したのか。
破れたパッカーズだが、二年連続でスーパーボウルに出場できた実力は、NFLを代表するチームの一つであることを十分に証明する。そのパッカーズがこの夏来日する。プレシーズンゲームとして行われる”東京アメリカンボール”に出場するためだ。相手はブロンコスの所属するAFC西地区で今年地区優勝したチーフス。主力選手が登場するのは序盤だけになると思われるが、一見の価値はある。
8月2日は東京ドームへ。