10分でわかるアメリカンフットボール

「アメフトはルールがよくわからない」と言われるのですが、野球がわかる人ならアメフトはわかります。見た目はラグビーに近いですが、ルールや試合展開は野球のほうが近いのです。
というわけで、アメフトを楽しむための最低限の情報を整理しました。


1.全体的なシステム

試合時間

原則として試合は60分間。これが15分ずつ、第1〜第4クォーターに分かれています。
第1クォーターと第2クォーターが前半、第3クォーターと第4クォーターが後半で、試合によっては前半と後半のあいだにハーフタイムショーなんかがあったりします。
サッカー等と同様、前半と後半で陣地を交代します。

「原則として」と条件をつけたのは2つの意味があります。
第1に、学生や社会人などのアマチュアのゲームでは、ひとつのクォーターを15分より短くして行うことがあります。
第2に、60分間というのは「時計が動いている時間」だけです。サッカーでは前半後半それぞれのあとにロスタイムがありますが、アメフトではロスタイムはなく、かわりに試合中に時計を止めるのです。時計が止まるのは「どちらかのチームがタイムをとった場合」「負傷者が出た場合など審判がタイムをとった場合」「ボールを持った選手がフィールドの外に出たりパスを失敗したりした場合」などがあります。

キックオフ

試合の開始は、キックオフです。コイントスでキックかレシーブかを選び、キックを選んだチームがボールを蹴ります。レシーブを選んだチームが蹴られたボールをキャッチして前進(リターン)し、止まった地点からレシーブチームのオフェンスが始まります。
つまりサッカーと違って、最初にボールを蹴るのは守備につくほうのチームということです。だからコイントスで勝ったほうは大体レシーブを選びます。

後半を開始するとき(つまり第3クォーターのはじめ)にもキックオフを行います。このときは前半開始のキックオフでレシーブしたチームがキックをおこないます。

チームの人数

一度にフィールドに出られる選手は11人。
選手の交代に制限がないため、NFLなどではたいてい、オフェンス専門の選手やディフェンス専門の選手というように専門化され、攻守交代の際には選手を全員入れ替えるのが普通です。


2.フィールド

アメフトのフィールドは縦が100ヤード。めんどうなので「だいたい100メートル」と考えていいです。

フィールドの中央にセンターラインがあります。
フィールドの両脇の線はサイドラインです。
センターラインから左右それぞれ50ヤードのところにエンドラインがあります。
エンドラインから外側10ヤードまででサイドラインの間のエリアをエンドゾーンと呼びます。エンドゾーン内でパスをキャッチするか、ボールを持ってエンドゾーンに走りこむと、タッチダウン(後述)となります。ラグビーのようにボールを地面につける必要はありません。
ゴールポストはラグビーと違って、エンドゾーンの一番奥にあります。


3.攻撃

ラグビーやサッカーが(審判が中断させたりしない限り)試合が止まらないのに対して、アメフトでは1回のプレイごとに試合が止まります。
「1回のプレイ」というのは、「ボールを間において攻守の選手が向かい合ってスタンバイしたあと、攻撃側一列目の中央の選手がボールを動かした瞬間」から、「審判が『ボールが止まった』と判断して笛を吹く瞬間」までです。この1回のプレイを「ダウン」と呼びます。
審判が「ボールが止まった」と判断するのは、「ボールを持った選手がフィールド内で相手チームにつかまって止まった」「ボールを持った選手が、相手チームに押し出されるなどしてサイドラインから出た」「パスに失敗した」「得点が入った」などのケースです。

オフェンスは4回のダウン(攻撃)で合計10ヤード以上進まなければなりません。
10ヤードに届かない場合、4回目の攻撃でボールが止まった地点で攻守交替(野球で言うチェンジ)になります。4回以内の攻撃で10ヤード進めば、「ファーストダウン獲得」となってまた1回目から数えます。これを繰り返していって、相手側エンドゾーンまで攻めていくのです。

わかりにくいようですが、システムとしては野球に似ています。
野球は「ストライクを3回とられる前に塁に出ないとアウト。3アウトでチェンジ。1アウトになる前に塁に出れば、カウントは最初に戻る。」ですが、アメフトでは「第4ダウンまでに10ヤード進まないとアウト。1アウトでチェンジ。1アウトになる前に10ヤード進めば、第1ダウンに戻る。」ということです。

たとえば、オフェンス側のエンドゾーンから10ヤードの地点にボールが置かれた状態で攻撃を始めるとします。
第4ダウンまでに20ヤード地点に届くか超えるかしたら、ボールが止まった位置からまた第1ダウンになります。もし第2ダウンで30ヤード地点まで進んだ場合、30ヤードラインからまた第1ダウンが始まり、第4ダウンまでに40ヤード地点を突破することを狙うわけです。

ところで、相手ディフェンスががんばって、第3ダウンまでに合計1ヤードしか進めず、第4ダウンが始まる時点でボールがオフェンス側の11ヤード地点にあったとします。3回で1ヤードしか進めなかったのに、4回目の攻撃だけであと9ヤード進むのは難しいかもしれません。もし4回目の攻撃でパス失敗したりしたら、この地点で攻守交替になって、相手はたった11ヤードでタッチダウンできてしまいます。
4回目の攻撃で10ヤードまで進めないかもしれないと判断した場合、パントといって、パスなどで攻撃する代わりにボールを蹴ることができます。パントした場合、攻撃権は失いますが、相手の攻撃はボールが止まった地点(ディフェンスの選手が蹴られたボールをキャッチしてから前進(リターン)し、オフェンスの選手につかまって止まるなど)からになります。
なので実質的には「第3ダウンまでで10ヤード進めない場合、パントを蹴る」となることが多いです。

ディフェンス側のエンドゾーンまで近い場合は、パントではなくフィールドゴール(後述)で得点を狙う場合もあります。

もちろん、危険をおかして4回目も普通に攻撃することも自由です。失敗した場合は相手にチャンスを与える危険がともなうため、「フォースダウン(第4ダウン)ギャンブル」と呼ばれます。
試合終了間近で負けている場合などは、ギャンブルに賭けることがありますし、スタンドのファンが「Go 4」(第4ダウンも行け!)と連呼することもあります。

さて、ダッチダウンとかフィールドゴールという言葉が出てきたので、次は得点について説明します。


4.得点

アメフトの得点は、以下の4種類があります。

タッチダウン

以下のようにしてボールを持った選手が、相手側のエンドゾーンに入った場合、タッチダウンとなります。

エンドゾーン内でジャンプしてパスをキャッチした場合は、エンドゾーン内に着地しないとタッチダウンは認められません。
その他のプレーでは、エンドゾーンぎりぎりで相手チームの選手に押されて体がサイドラインの外に出ても、サイドラインの外に足が着地するより前に、手を伸ばしてボールをエンドゾーン内を通過させれば、タッチダウンとなります。

フィールドゴール

エンドゾーンまで少し距離がある状態で第4ダウンになった場合は、タッチダウンをあきらめてフィールドゴールを狙います(試合終了間際で点差が3点より多い場合は、4thダウンギャンブルに挑戦する場合もあります)。
蹴ったボールがゴールポストの間またはその上空を通過したら、フィールドゴール成功です。

エキストラポイント

タッチダウンが決まった場合に限って、さらにエンドゾーン直前からもう一度攻撃してボーナス点を狙うことができます。
NFLの場合、ここでさらにタッチダウンするとプラス2点、フィールドゴールだとプラス1点です。だいたいは成功の確率が高いフィールドゴールを狙うので、1回タッチダウンすると6+1で7点入ることになります。

この得点のことを、ボーナス点ということで「エキストラポイント」などと呼びます。
「ポイント・アフター・タッチダウン」あるいは「トライ・フォー・ポイント」などと呼ぶこともあります。

セーフティ

ディフェンス側だけができる、特殊な得点です。
オフェンス側のエンドゾーン内で、ボールを持ったオフェンスの選手がオフェンス側のエンドゾーン内でディフェンスにつかまってボールが止まったりした場合、セーフティとなってディフェンスに2点入ります。

セーフティにはもうひとつ、オフェンス側に不利になることがあります。
タッチダウンやフィールドゴールの場合は、得点したチームのキックによるキックオフで試合再開となります。得点されたチームがレシーブして、攻撃権を得るのです。しかしセーフティの場合は、得点された側がキックオフを蹴り、得点した側がレシーブして攻撃を続けることになります。
しかも、通常のキックオフはキック側の35ヤード地点から蹴りますが、セーフティ後のキックオフではキック側は15ヤードさがって20ヤード地点からのキックとなります。その分、レシーブ側は前進(リターン)しやすいことになります。

セーフティを奪われるというのは屈辱的なだけでなく、実際にとても不利になるのです。だから、自陣1ヤード地点などから攻撃をはじめる場面は、セーフティを避けられるかどうかとても注目です。


以上、10分程度で読めるくらいの量と内容を目指しましたが、いかがでしたでしょうか。
とりあえず以上がわかれば、アメフトは楽しめます。その他の細かいことは、審判のシグナルをTV中継の解説者や場内アナウンスが説明してくれますので、心配いりません(オフサイドがわからなくてもサッカーは楽しめるし、ボークがわからなくても野球は楽しめますよね)

ですがさらに、よく出る言葉とその意味だけ書いておきます。

おまけ1.ポジションに関する用語

選手交代に制限がないため、オフェンス時にはオフェンス専門の選手、ディフェンス時にはディフェンス専門の選手、キックオフなどではキックやリターン専門の選手が登場するなど、総入れ替えするのが普通。

オフェンスライン(OL)/ディフェンスライン(DL)

オフェンスまたはディフェンスの一列目の選手のこと。

だいたいデカイ。日本の某大学のアメフト部では以前、ラインの選手は相撲部屋に稽古に行っていたそうです。

立ち位置によってさらに細かいポジション名があり、オフェンスだと中央の選手がセンター(この人がボールを動かすとプレイが始まる)、その両脇がガード、さらにその両脇がタックルです。

パス攻撃の場合、オフェンスラインが並んでクォーターバックを守るために作る壁を、ポケットと呼びます。

ラン攻撃の場合、オフェンスラインはディフェンスラインを食い止めて、なおかつ、ボールを持った味方がディフェンスラインの間を駆け抜けられるだけの隙間を確保します。
アメフトの一番の花形はクォーターバックだけど、まずオフェンスラインとディフェンスラインの激突からすべてが始まるのです。

ワイドレシーバー(WR)

オフェンスでパスをキャッチする人。

だいたい痩せてて長身。

ランニングバック(RB)

オフェンスでボールを持って走る人。フォーメーションによってフルバックとかテールバックと呼ばれたりもする。

昔はデカい人がディフェンスを跳ね飛ばして前進するチームもあったが、最近のNFLでは小柄でスピードのある選手が、カットバック(減速なしで、ディフェンスの不意をついて走るコースを変更する)しながら前進するスタイルが多いようです。

クォーターバック(QB)

センターからボールを受け取る選手。オフェンスの司令塔で、後ろから突っ込んでくるランニングバックにボールを渡したり、ワイドレシーバーなどにパスを投げたり、自分でボールを持って走ったりする。アメフトの花形ポジション。

でかいラインごしにパスを投げる必要から長身が多い。
NFLではほとんどの場合、白人(なんでかねぇ)

タイトエンド(TE)

フォーメーションによっていろいろなところにいる、「デカい、速い、器用」三拍子そろった人。
オフェンスラインを手伝ってディフェンスを止めたり、ディフェンスラインの後ろに走りこんで短いパスをキャッチしたり、ランニングバックよりは大柄な体格を活かしてボールをかかえてディフェンスラインに突っ込んだりする、マルチな人。

ラインバッカー(LB)

ディフェンスの2列目あたりにいる人。デカくてすばやい。

ディフェンスラインがオフェンスラインのあいだに作る隙間から突入して、クォーターバックを叩きのめす。クォーターバックがオフェンスの花形であるのに対して、ラインバッカーはディフェンスの花形。

セーフティ/コーナーバック

ディフェンスの一番後ろにいる人たち。まとめてディンフェンシブ・バックとも。

パスをキャッチしようと走ってくるワイドレシーバーをマークし、あわよくば自分がパスをキャッチ(インターセプト)してしまおうと狙っている。
かと思うとフォーメーションによってはオフェンスラインを迂回してクォーターバックに突入するなど、守備範囲が広い。

だいたい小柄で速い人だが、ワイドレシーバーの長身化に対抗するため最近は長身で速いアスリートが求められている。

リターナー

キックオフやパントで蹴られたボールをキャッチする人。

キャッチしたら全速で前進(リターン)するため、捕球がうまくて足の速い選手=ランニングバックやワイドレシーバーが兼任する場合が多いが、専門のスペシャリストもいる。

ホルダー

キッカーがフィールドゴールやキックオフを蹴るときに、ボールを地面に立ててホールドする人。漫画「スヌーピー」で、チャーリー・ブラウンがボールを蹴るときに、ルーシーがボールを抑えてる場面があるけど、チャーリー・ブラウンがキッカーで、ルーシーがホルダー。

キッキングチーム

キックオフ、パント、フィールドゴールなどの場面で、蹴る側のチーム。あるいはその場面でフィールドに出る選手たち。

キックオフやフィールドゴールを蹴るのがキッカー、パントを蹴るのがパンター。
キッカーやパンターはほとんど敵と接触しないため、華奢な選手も珍しくない。他の10人は、ボールが蹴られた次の瞬間には、相手に大きくリターンされる前にリターナーを止めるべく突進する。

リターンチーム

キックオフ、パントの場面で、リターンする側のチーム。あるいはその場面でフィールドに出る選手たち。

蹴られたボールをキャッチして前進(リターン)するのがリターナーで、ランニングバックなどと兼任する場合が多い。リターナー以外の選手は、キッキングチームがリターナーを止めるのを阻止する。

スペシャルチーム

キッキングチームとリターンチームの総称。「オフェンス専門の選手たち」「ディフェンス専門の選手たち」のツープラトン(2個小隊)の他に、スペシャルチームが編成されている。

オフェンスやディフェンスと兼任の場合が多いが、両チームが全速力でぶつかりあうため負傷者がでる危険が高くなるため、主力選手を出さず、キッカー、パンター、リターナー以外は控えの若手選手を投入することが多い。
逆に言うと、未来の中心選手になるような若手が出ているかも?ホルダーはQBの控えがつとめることが多いみたいです。


おまけ2.ルールに関する用語

スクリメージライン

ボールが置かれた地点から左右のサイドラインに向かって線が引かれていると仮想する。この線をスクリメージラインと呼ぶ。

オフェンスとディフェンスはこの線をはさんで向かい合う。「4回の攻撃で10ヤード進んだか」は、第1ダウンのスクリメージラインから計る。
微妙な場合は、長さが10ヤードのチェーンを持った審判(チェーンクルー)が登場し、計測する。

ラグビーでは前方にパスを投げるのは反則だが、アメフトではオフェンスは1回だけ前方にパスを投げることができる。ただしスクリメージラインを1歩でも超えたら、前方にパスを投げることはできない。
(横あるいは後ろになら、スクリメージラインより後ろでも前でも、また何度でも、パスを投げることができる)

ターンオーバー

攻守交替となるプレー。たとえば以下のような場合。

インターセプトは、パスをノーバウンドでキャッチしなければ不成立。ファンブルは、ボールがフィールド内を転がっている間に確保すれば成立。このためオフェンスがファンブルすると「今のは落球ではなくパス失敗だ」と言い張ったりする。

パスをインターセプトしたディフェンス側の選手がそのまま前進(リターン)する途中で、オフェンスの選手につかまってファンブルする、なんてこともある。

QBサック(クォーターバックサック)

パスを投げようとしてワイドレシーバーを探しているクォーターバックが、スクリメージラインより後ろでディフェンスの選手につかまること。
NFLのあるラインバッカーが「フットボールには2種類のヒーローがいる。クォーターバックと、クォーターバックを叩きのめすやつだ」と言ったほど、ディフェンスにとって敵QBをサックすることはインターセプトと並ぶ勲章。

逆に、ディフェンスがオフェンスラインを突破してQBサックすることは、オフェンスラインにとってかなり屈辱的。QBサックされること自体が次のプレーで不利になるほか、パスしようとしているQBは体制が不安定になっているため、サックされるとファンブルしてターンオーバーになることが多く、勝利のために大きなダメージとなる。
また、背後からディフェンスにサックされて大怪我をしたクォーターバックも少なくない。オフェンスラインは、次の攻撃のためにも、勝利のためにも、クォーターバックの安全のためにも、確実にクォーターバックを守らないといけない。

ただしディフェンスがオフェンスラインを突破するのではなく、オフェンスラインを迂回して外側からQBサックした場合は、迂回する分だけ時間がかかってるのにグズグズしていたクォーターバックの責任。ディフェンス側がオフェンスの作戦を読んでいて、レシーバーがマークされている場合にこうなるのだけど、それならそれでクォーターバックは自分で走ることを決断する。

QBサックが次のプレーで不利になるというのは、サックはスクリメージラインより後ろでやられるから。
たとえば第1ダウンであと10ヤード進まなければならない場面で、センターが後ろのクォーターバックにボールを渡し、クォーターバックが2,3歩さがって、ワイドレシーバーがディフェンスのマークを外すのを待ってる間にクォーターバックがサックされたとする。この場合、サックされた地点はスクリメージラインから5ヤードくらい後ろになっていて、第2ダウンではあと15ヤード進まなければならなくなったりする。クォーターバックがサックを避けようとして逃げ回ったりすると、さらにロスが大きくなって、第2ダウンであと20ヤードなんてこともある。

なお、スクリメージラインの後ろであっても、クォーターバックからボールを受け取った「クォーターバック以外の選手」をディフェンスが捕まえた場合は、単に「タックル」と呼ばれる。ボールを持ったクォーターバックがスクリメージラインを超えてからつかまえてもタックルとなる。

2ミニッツ

前半と後半それぞれの、残り2分のこと。

アメフトでは、パスをキャッチした選手がすぐにサイドラインから出るなどして、うまく時計を止めながら攻撃すれば、残り時間が少なくても得点が可能。というわけで残り2分を切ってからの攻防が非常に見ものになる。
このためNFLでは、残り2分で審判がタイムをかけ、チームはこの間に作戦を練り直し、TV局はこの間にCMを入れる。

ハドル

攻撃の前にオフェンスの選手が円陣を組んで作戦を確認すること。

ノーハドル

攻撃の前にハドルを組まず、クォーターバックが大声で暗号で作戦を伝えてオフェンスを始めること。

残り時間が少なくて急いでいる場合(前のプレーでボールを持った選手がサイドラインの中でディフェンスにつかまり、時計が止まらなかった場合)などに、ノーハドルで攻める。
オフェンスがハドルを組んでいる間に、ディフェンスも次のオフェンスの作戦を読んで対策を立てる。その余裕をディフェンスに与えないために、残り時間があってもノーハドルで攻撃することもある。

フェアキャッチ

キックオフやパントの場面では、蹴られたボールをレシーブする選手(リターナー)になるべくリターン(キャッチしてから前進すること)されないように、キッキングチームはリターナーに殺到する。
リターンチームはリターナーを守るためにキック側を止めるのだが、うまく止めきれず予想外に早くキック側がリターナーに迫った場合、リターナーはリターンする意思がないことを示すために腕を大きく振る。この場合、キック側はリターナーに触れてはならず、リターナーは安全にキャッチすることができる。これをフェアキャッチ、またはセーフティキャッチと呼ぶ。

キックオフやパントでは両軍の選手が全速力でぶつかり合うため負傷者がでる可能性が高く、飛んでくるボールを無防備に見上げているリターナーは特に危険になるため、このルールがある。
キックオフされたボールがキャッチされた瞬間から時計が進み始めるため、残り時間がわずかである場合は、あえてフェアキャッチして時計を進めない場合もある。
ただし、その必要がないのにフェアキャッチしていると、臆病者と見なされて放送禁止なブーイングを浴びることもあるる。

タッチバック

通常は、ターンオーバーの場合も含めてボールが止まった地点から次のプレーを開始するが、以下の場合などでは、ディフェンスしていた側(リターン側)の20ヤード地点から開始する。これをタッチバックという。

というわけで、リターナーが「これはエンドゾーンに入る」と思ったら最初からキャッチもしない場合がある。その場合キック側は、タッチバックを避けるのはもちろん、エンドゾーン手前ギリギリでボールを止めれば次の相手の攻撃でセーフティを奪うチャンスにもなるので、自分たちが蹴ったボールを必死でおいかけることになる。

オンサイドキック

キックオフで、高くボールを蹴らずに、わざと転がすように蹴ること。スクイズキックとも呼ぶ。

蹴ったボールが10ヤード以上進めば、蹴った側のチームがボールを確保してもよい。このため残り時間わずかでキック側が負けている場合、スクイズキックにすることがある。キック側がボールを確保すればターンオーバーとなってキック側の攻撃となるが、レシーブ側に確保されるとフィールド中央あたりからレシーブ側の攻撃となるため、ギャンブルではある。

リターンチームに超一流のリターナーがいて「今日の試合では特にノッてる」という場合、リターンしにくくさせる目的でスクイズキックすることもある。