徴税人・取税人

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用語
聖書語句。
邦訳での表記
徴税人 ちょうぜいにん(新共同訳など)
取税人 しゅぜいにん(新改訳、口語訳など)
英語表記
tax collector

意味

使徒になる前のマタイは、カファルナウムの町で税金(おそらく通行税)を徴収する徴税人でした。
徴税人といっても、日本で税務署に座っているような公務員とはイメージが異なります。聖書では徴税人といえば、罪人や遊女と同列に扱われているのです。「なりたくない職業」というアンケートを取ったら、第二位の羊飼いをおさえてぶっちぎりの優勝まちがいなしです。

この当時のイスラエルはローマ帝国を宗主国としていて、ここでいう税金はローマに納めるためのものです
ローマ帝国は属国からの徴税を、その土地の人間に請け負わせていました。ここには属国民の反感を帝国ではなく徴税人にむけさせるという意図が当然あったでしょう。同胞にとって徴税人は、敵国の手先も同然、いわば裏切り者です。
ましてやイスラエル人は「自分たちは神に選ばれた特別な民であって、外国人は神を知らないけがれた民である」と考えていました(いわゆる選民思想ですね)。このために、異邦人との接触さえ毛嫌いしていたのです。けがれた異邦人が神の民を支配するなどという、おおよそ許容しがたい状況にあって、そのけがれた異邦人の手先となって同胞から搾取する徴税人は憎悪の的でした。

(十二弟子の中に、徴税人(ローマの手先)出身のマタイと、熱心党(反ローマの急先鋒)出身のシモンがいたというのは、実に興味深いところです。仲よかったのかなぁ。)

にもかかわらず、どうしてそのような職業に就く人がいるかというと、それぞれ理由があったことでしょうが、とにかく収入面でオイシイ仕事だったのです。
徴税人はローマから「これだけの額」ということを請け負います。その金額以上を徴収すれば、差額分まるもうけというわけです。徴税人を募集するときは入札のような制度もあって、税金を一番多く集めてくると言った者が徴税職を請け負うことができたそうです。文句を言おうにも、ローマの市民権もない属国民の身では裁判もろくにできず、恨みは徴税人へ。ローマとしても、反乱をおこされるよりは徴税人が怨まれてるほうがいいということで黙認。

マタイ(アルファイの子レビ)もけっこうな暮らし向きだったようで、彼がイエスと出会ったときには彼の家で大宴会が行われたことが聖書に記録されています(マルコ福音書2章14以下)。
ルカ福音書19章に登場するザアカイという人物は、徴税人の元締めだったから金持ちだったなどと書いてあり、相当あこぎなことをしていたのでしょう。

ところでイスラエル人には、徴税人を通してローマ帝国におさめる税のほかに、神殿税など同胞社会に徴収される税もありました。キリストも「王が民から取るのが税金だろうに、神の王子である私が神の家である神殿への納税を求められるなんてネ」と冗談を言いながら神殿税を納めています(マタイ福音書17章24以下)。

関連語句

使徒マタイ

更新:2006年11月01日

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