シモン・ペトロ(ペテロ)

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用語
人名。キリストの十二弟子(使徒)の一人。
邦訳での表記
シモン・ペトロ(新共同訳など)
シモン・ペテロ(新改訳、口語訳など)
英語表記
Simon Peter

概要

本名はバルヨナ・シモン。

ペトロ(ペテロ)は、キリストがバルヨナ・シモンにつけたあだ名で、その意味はギリシャ語で「岩」。ヘブライ語だとケファ(ケパ)となります。キリストに「あなたは岩である。わたしはこの岩の上に教会を建てる」と言われたことから、このあだ名がついたものです。十二弟子にはもう一人、熱心党のシモンがいるので、区別するために「ペトロと呼ばれたシモン」「バルヨナ・シモン」「シモン・ペトロ」と呼ばれます。

バルヨナは「ヨナ(またはヨハネ)の息子」の意味です(→名前の雑学)。
シモンは、ヘブライ語のシメオンをギリシャ語に音訳したもの。
シメオンの意味は「聞く」。ヤコブの十二人の息子の一人で、シメオン族の祖となったシメオンにちなむ名前です。

同じく十二使徒のアンデレは兄弟。
父の名は上述の通りヨナ(またはヨハネ)、母の名は不明です。
聖書に姑が登場します。つまり結婚していたのに妻を残してキリストについていったわけです(もしかすると妻も、キリストに従った婦人たちの中にいたのかもしれないけど)。

ベツサイダ出身で、弟子になる前はガリラヤ湖畔の町カファルナウムに住む漁師でした。
他の使徒たちにも言えますが、ガリラヤ地方出身ということは田舎者ということで、聖書に記録されているペトロのセリフも、この地方の訛りが強く出ていたようです。(十字架にかけられるためにイエスが捕らえられた後、助けるために忍び込んだペトロは、言葉で「ガリラヤ者」とバレています。)
しかしド田舎の漁師だから無学かと思いきや、イスラエル人は聖書(この時代は旧約聖書のみ)を全部こどものうちに暗記するそうです。「無学な人」と書かれている(使徒4:13)のは、律法について専門的な教育を受けてはいない、という意味でしかないようです。
ということは、(旧約)聖書の預言を信じて、いつか救い主が現れることを期待している一人でもありました。だから、兄弟アンデレが「救い主に会った」と言うと、飛んでいって弟子になりました。

性格は、直情型というか、思い付きで行動してしまうタイプでした。思い込んだら、あとさき考えずに一直線という感じです。熱心な信仰を持っている一方、失敗も多く、キリストにしょっちゅう叱られていました。
一番行動的で、一番アツくて、一番おっちょこちょいな使徒です。

そのペトロが、キリストの処刑と復活を通して、大きく変わります。
キリストが捕らえられた時、自分も捕まりそうになったペトロは、「イエスなど知らない」と三度も裏切ってしまいます。
しかし十字架で死んだ後復活したキリストから、「弟子たちの世話をしなさい」と三度命じられ、裏切った後悔から解放されます。
さらに、「救い主」キリストが天に帰った後に世に来た、「助け主」聖霊によって力づけられ、多くの人を回心に導いたのです。
この、ペトロをはじめ弟子たちの豹変ぶりが、キリストが生き返った証拠のひとつだという意見もあります。キリストが十字架で殺される前と、その数日後以降では、ペトロたちはまるで別人です。キリストは復活などしなかったと主張する研究者でも「弟子たちを別人のようにかえた、劇的な何事かがおこった」ということだけは認めざるを得ません。

伝承や伝説の多い人です。聖書に記述はありませんが、殉教したと伝えられる多くの使徒と同様、彼も皇帝ネロの迫害により、ローマで殉教したと言われています。
その最後は、捕らえられローマで十字架刑にされるときに、「主キリストと同じ死など恐れ多い」と言って、頭を下にして磔(はりつけ)にされたということです。

ローマカトリックでは、ペトロはキリスト教の教会のもといであること、キリストから「天国の鍵」を託され、ペトロが地上で決めたことは天国でも承認されるとされたこと(以上、マタイ16:18-19)は、ペトロが使徒たちとクリスチャンのリーダーである(首位権がある)と解釈し、ローマ教皇はペトロの後継者とされています。
(プロテスタントでは、首位権という考え方自体をキリストが認めていない(マタイ18:1-5,ルカ22:24-27)と考えています。)

聖書中の著作

「ペトロの手紙 一」「ペトロの手紙 二」が、シモン・ペトロの記したものと考えられています。
「マルコによる福音書」はペトロの口述をヨハネ・マルコが筆記したとものという説があります。

聖書の中の同名異人

前述の通りシモン(シメオン)は由緒ある名前ですので、同名異人も多いようです。

この人にちなんだ人名

ペトロ

英語:ピーター(Peter)
ドイツ語:ペーター(Peter)
ラテン語:ペトルス(Petrus)
フランス語:ピエール(Pierre)
ロシア語:ピョートル(英語表記にするとやっぱりPeter)

Peterという名前は、1904年に劇作家ジェームス・バリーが「ピーターパン」を発表してから流行したそうです。(「ピーターパン」からはWendyという架空の名前も流行した。)

Peterから派生した名には、Pete, Petar, Peterrなど。女性の名としては、Peta, Petra, Petena, Peterina,Petrinaなどあります。

有名人としては、
ピーター・パン(童話の主人公)、
ピーター・アーツ(キックボクサー)、
ペーター(「アルプスの少女ハイジ」のヤギ飼い少年)、
ピーター・ガブリエル、
ピエール瀧(電気グルーブ)、
ピエールカルダン(ファッションデザイナー)、
ピョートル大帝(帝政ロシア)、
ポール・サイモン(ミュージシャン)、
子門真人(泳げたいやきくん:クリスチャンで、シモン・ペトロから芸名をつけた)、などなど。

漫画家の紫門ふみも間接的にそうだし(ポール・サイモンからとったそうです)、きりがない。

空手家の故アンディ・フグ選手のアンディは、使徒アンデレに由来しています。ピーター・アーツとアンディ・フグがK-1で戦ったのは、兄弟ケンカだった?

シモン

ギリシャ語:シモン(Simon)
ヘブライ語:シメオン(Simeon)
シンプソン(Simpson)もこれから派生した名字。フランス語の女性の名でSimone,Simonneなどもある。

関連語句

使徒

アンデレ


メルマガ「聖書を読んでみよう」増刊9号(1998年10月19日配信)に掲載したものを加筆訂正しています。
「この人にちなんだ人名」は、すのぴ氏のご協力によるものです。

作成:1998年10月19日
更新:2006年11月01日

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