そのとき、何があったのか

安息日前日 金曜日 朝


ゴルゴタへの道

ピラトからイエスを渡された兵士たちは、総督官邸の中にイエスを引いて行きました。そして部隊の全員を呼び集め、権威を象徴する紫の服をイエスに着せ、「ユダヤ人の王、ばんざい!」と言って敬礼したのです。
ただし、イエスの頭には王冠ではなく、イバラの枝を編んで作った冠がかぶらされました。ようするに嘲弄しているのです。さらに兵士たちは、棒でイエスの頭を叩いたり、唾をかけたり、かと思うとひざまづいて拝んでみせたり。

それにも飽きた頃、紫の服を剥がしてもとの服を着せ、刑場へと引き出したのでした。
このとき、映画や絵画ではイエスが十字架を背負って行ったことになっていますが、人一人の体重をささえられるだけの、しかもさらし者にできるだけの高さのものとなれば、けっこうな重さになるでしょう。しかも十字架刑にされる者はたいてい、その前にムチで打たれます。先に鉄片などを織りこんだ、一撃で皮膚が裂け血がとぶようなムチですから、刑場に向かう頃にはすでに体がボロボロになるのです。

実際には、おそらく十字架の横木だけを背負わされて行ったのだろうと考えられています。
ところがそれでも、イエスの体はもう耐えられないほどだった(十字架にかけられたあと、驚くほどの短時間で死亡しているほど、イエスは衰弱していました)。そこで人々は、たまたま通りかかったシモンという名のキレネ人(*1)に無理やりイエスの十字架を背負わせ、ようやくイエスを刑場に連れて行ったのです。

刑場の名はゴルゴタ。その意味は「されこうべ(頭蓋骨)の場所」です。


*1 キレネは、北アフリカの海岸の都市。歴史家ヨセフォスによれば、ユダヤ人の殖民が奨励されたとのことで、このシモンはキレネ出身のユダヤ人で祭りに来ていたと思われる。

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