そのとき、何があったのか

祭りの1日前 木曜日 夕暮れ


最後の晩餐

弟子たちが過越の食事の準備をした家に、夕方になってイエスたちも到着し、一同は食事の席につきました。(*1)
しかしこのとき[既に悪魔は、イスカリオテのシモンの子ユダに、イエスを裏切る考えを抱かせていた]とヨハネは記録しています。(*2)

洗足

この食事の席で、12弟子のあいだに「自分たちのうちでだれがいちばん偉いだろうか」という議論がおこったと記録されています。

すると、敷物の上に横たわって(*1)食事していたイエスが立ちあがり、たらいに水を汲んできて、同じように横たわって食事していた弟子たちの足を洗い始めたのです。
これは本来は奴隷の仕事でした。なのに、神キリストであるイエスが、弟子たちの足を洗ったのです。そして「わたしがあなたがたにしたことが分かるか」と問いました。

これは、「誰が一番えらいか」と言っている弟子たちを教えるためでした。イエスは[主であり、師であるわたしがあなたがたの足を洗ったのだから、あなたがたも互いに足を洗い合わなければならない]と言っています。

聖さん式

次にイエスは、パンとぶどう酒を弟子たちに分け与えました。イエス自身が言うように、パンは十字架にかけられ傷つけられたイエスの体を表し、ぶどう酒はイエスが流す血を表します。

この儀式は、神キリストと人間とのあいだの新しい契約である、とイエスは言います。神ヤハウェはアブラハムの時代からイスラエルと契約を結んできましたが、キリストがいけにえの子羊として死ぬことで、その傷つけられた体と流された血によって、新しい契約が成立したのです。
キリスト以前をふるい契約(旧約)、キリスト以後を新しい契約(新約)というのも、このためです。

なお、先の洗足の記事から、この日は「洗足木曜日」と呼ばれ、とくに最後の晩餐を記念した聖さん式を行う教会が多いようです。


*1 ダヴィンチなどの「最後の晩餐」をテーマにした絵では、イエスと弟子たちは椅子に座ってテーブルに向かっていますが、「席についた」と訳されているギリシャ語は「体を横たえる」という意味のことばです。過越祭など特別な宴のときには、敷物を敷いた上に横たわって食事するのが習慣でした。

*2 ヨハネのみ、最後の晩餐は祭りの前日のこととして記録しています。

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