やさしい聖書のお話

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ヤコブの帰郷

今日のお話しから(2000年7月16日)

7月に入ってから、教会学校では、旧約聖書の登場人物ヤコブの物語を見てきました。

ヤコブとエサウ

ヤコブの家族は、双子の兄エサウ、父イサク、母リベカ。この家族、実は火種をかかえていました。イサクはエサウを愛し、リベカはヤコブを愛していたと、聖書に記録されています。一家の中に、「父と長男」「母と次男」という派閥があったのです。
この状況は当然のように、家督争いを生んだのです。ヤコブはエサウの空腹につけこんで、一度の食事と引き換えに相続権を譲渡させました。リベカは、相続の手続きの際にイサクをだまし、エサウに変装したヤコブがすべてを相続するようにしました。
一方、イサクは神様から「家は弟が継ぐことになる」とお告げを受けていたのに、ひいきする長男に家を継がせようとしました。エサウは、あまりに空腹だったとは言え、一度の食事と相続権を交換するという、非常に相続権を軽んじた軽率なことをしました。

相続するのはイサクの財産だけではなく、イサクが父アブラハムから受け継いだ「子孫を星の数のように多くし、ひとつの国家にする」という神の約束も相続するのです。それなのにこの家族は、それぞれが自分勝手な考えをしていました。その結果として彼らは家庭崩壊の危機となります。兄エサウが弟ヤコブを殺そうとするのです。そうと知ったリベカは、ヤコブを自分の実家に逃がすことにしました。ヤコブは「エサウの怒りがとけたら、人を送っておまえを呼び戻します」という母のことばに期待して、伯父のもとへ旅立ったのです。

ヤコブの逃亡

孤独な逃亡を続けるヤコブが野宿していたときのこと。神がヤコブの夢に現れ「わたしはあなたと共にいて、あなたを守り、あなたを決して見捨てない」と約束してくださいました。ヤコブはこれにとても勇気づけられ、もはや孤独感もなく、伯父のところでの長い苦労も耐えられるようになったのです。

ヤコブの帰郷

伯父のもとに身を寄せたヤコブは、伯父にだまされたり逆に出し抜いたり、20年に渡って多くの苦労をしましたが、その間に家族もでき、多くの財産も得ました。そして神から「あなたの故郷、先祖の土地へ帰れ」とのお告げを受けて、いよいよ帰郷することになったのです。
しかしヤコブには大きな恐怖がありました。「エサウの怒りはおさまった」との便りはまだ届いていないのです。それでヤコブは様子を知るために使者をエサウのもとに送りました。その使者は行って帰ってくると「エサウが400人の家来を引き連れてやってくる」と報告したのです。
「このままでは自分も家族も殺され、財産も奪われてしまう」と不安になったヤコブは、いろいろと策を考えます。奴隷、羊、牛、らくだなどの財産を二組にわけ、一方がエサウに襲われたら残りと一緒に逃げられるようにしました。さらに、エサウをなだめるために、家畜の中から大量の贈り物を選んで先に行かせることにしたのです。

神に頼る

それでも不安の消えないヤコブは、祈るためにみんなから離れて一人になりました。その夜、何者かがヤコブに襲いかかったのです。その「何者か」は夜明けまでヤコブと戦い、ヤコブの股関節を脱臼させて動けなくさせてしまいました。
それは神の使いでした。この戦いを通してヤコブは、自分の力の限界と自分の弱さを教えられたのです。同時に、すべてを神にゆだねることを教えられました。格闘に負けることで本当に勝つ方法を学んだ、という言い方もできるでしょう。(聖書には、勝てるはずのない戦争で神を信じたから勝てた人たちの記録もたくさんあります)
夜が明けたとき、ヤコブは片足が動かなくなっていましたが、それもどうでいいことでした。自分の知恵や力に頼るのではなく神に頼ることを真に知ったヤコブには、恐れることなど何もなく、やってくるエサウを先頭に立って迎えたのです。

和解

一方、エサウはというと。400人を連れてきたのはヤコブを攻撃するためではなく、できるかぎり壮麗に父の家の跡取りである弟を出迎えるためだったのです。もともとさっぱりした性格の好漢エサウ(さっぱりしすぎで失敗もしましたが)は、怒りを引きずるどころか、らくだから飛び降りると「走って来てヤコブを迎え、抱き締め、首を抱えて口づけし、共に泣いた」と記録されています。

【今日のお話しの聖書箇所】

創世記32章~33章4節(抜粋)

ヤコブは、あらかじめ、兄エサウのもとに使いの者を遣わすことにした。使いの者はヤコブのところに帰って来て、「兄上様の方でも、あなたを迎えるため、四百人のお供を連れてこちらへおいでになる途中でございます」と報告した。ヤコブは非常に恐れ、思い悩んだ末、連れている人々を、羊、牛、らくだなどと共に二組に分けた。エサウがやって来て、一方の組に攻撃を仕掛けても、残りの組は助かると思ったのである。
ヤコブは祈った。「わたしの父アブラハムの神、わたしの父イサクの神、主よ、あなたはわたしにこう言われました。『あなたは生まれ故郷に帰りなさい。わたしはあなたに幸いを与える』と。どうか、兄エサウの手から救ってください。わたしは兄が恐ろしいのです。兄は攻めて来て、わたしをはじめ母も子供も殺すかもしれません。あなたは、かつてこう言われました。『わたしは必ずあなたに幸いを与え、あなたの子孫を海辺の砂のように数えきれないほど多くする』と。」
その夜、ヤコブはそこに野宿して、自分の持ち物の中から兄エサウへの贈り物を選んだ。それは、雌山羊二百匹、雄山羊二十匹、雌羊二百匹、雄羊二十匹、乳らくだ三十頭とその子供、雌牛四十頭、雄牛十頭、雌ろば二十頭、雄ろば十頭であった。それを群れごとに分け、召し使いたちの手に渡して言った。「わたしの先に立って行きなさい。兄のエサウが『お前の主人は誰だ。どこへ行くのか。ここにいる家畜は誰のものだ』と尋ねたら、こう言いなさい。『これは、あなたさまのしもべヤコブのもので、御主人のエサウさまに差し上げる贈り物でございます。ヤコブも後から参ります』と。」ヤコブは、贈り物を先に行かせて兄をなだめ、その後で顔を合わせれば、恐らく快く迎えてくれるだろうと思ったのである。その夜、皆を導いて川を渡らせ、持ち物も渡してしまうと、ヤコブは独り後に残った。
そのとき、何者かが夜明けまでヤコブと格闘した。ところが、その人はヤコブに勝てないとみて、ヤコブの腿の関節を打ったので、格闘をしているうちに腿の関節がはずれた。「もう去らせてくれ。夜が明けてしまうから」とその人は言ったが、ヤコブは答えた。「いいえ、祝福してくださるまでは離しません。」「お前の名は何というのか」とその人が尋ね、「ヤコブです」と答えると、その人は言った。「お前の名はもうヤコブではなく、これからはイスラエルと呼ばれる。お前は神と人と闘って勝ったからだ。」
太陽は彼の上に昇った。ヤコブは腿を痛めて足を引きずっていた。ヤコブが目を上げると、エサウが四百人の者を引き連れて来るのが見えた。ヤコブはそれから、先頭に進み出て、兄のもとに着くまでに七度地にひれ伏した。エサウは走って来てヤコブを迎え、抱き締め、首を抱えて口づけし、共に泣いた。

「今日のお話しから」は、幼稚園礼拝で聖書のお話をした際に、保護者向けに作成したレジュメです。

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作成:2000年7月16日

布忠.com