申命記 第13回

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迷わずにSAY YES(27章)

4章44から26章までかかって、神ヤハウェがイスラエルと締結しようという契約の条項が提示されました。
モーセは[イスラエルよ、静かにして聞きなさい。あなたは今日、あなたの神、主の民とされた。]と言っています。イスラエルを代表して、モーセはヤハウェとの契約に調印したのです。それでモーセはイスラエルに[あなたの神、主【ヤハウェ】の御声に聞き従い、今日わたしが命じる戒めと掟【おきて】を行わねばならない。]と言って、この契約の批准を求めます。

とは言っても、彼らイスラエルが今いるのは、ヨルダン側の東岸です。ヨルダン川の西にあるカナン地方を、まだ手に入れていないのです。そこはまだカナン人の土地です。しかしこの27章には、2,3,4,12節と4回も「(ヨルダン)川を渡ったら」と繰り返されていて、「いよいよ約束の地に入るときが来たのだから、そのための備えをしなければならないんだ」というモーセの高揚が伝わるような気もします。

さて、ヤハウェがイスラエルにヨルダン川を渡らせてカナン地方に入らせることは、その地をイスラエルに与えるとヤハウェが約束したことの実現であり、いわば契約の当事者の一方であるヤハウェ側が契約を批准し実施したことになるわけです。 その時には、このようにしてイスラエル側も契約を批准するようにと、モーセは指示します。

批准と言っても、イスラエル12部族には政府がありません。国会に集まる代わりに、6部族がイスラエルを祝福するために山にのぼり、6部族は呪うために対面する山に登るようにとモーセは指示しました。そして、祭司であるレビ族の宣言にあわせて、12部族の全員が「アーメン」と言うように奨めたのです。

「アーメン」とは「そのとおりだ」「心からそう思う」という意味です。たとえばキリスト教徒が祈りや讃美の最後にアーメンと唱えるのは、「今の言葉は心からの思いです」ということなのです。(筆者は子供の頃、「アーメン」のかわりにふざけて「ラーメン」とか「ソーメン」などといったら、ずいぶん大人たちから叱られました)
この言葉は最上級の肯定、もっとも心をこめた"YES"なのです。

さてその、イスラエルの民が「アーメン」というべきレビ族の宣言は、これまでにモーセを通してヤハウェから示されたおきてと約束のエッセンスともいうべきものです。

「職人の手の業にすぎぬ彫像や鋳像は主のいとわれるものであり、これを造り、ひそかに安置する者は呪われる。」それに答えて、民は皆、「アーメン」と言わねばならない。

に始まり、父母を軽んずる者、隣人との土地の境界を動かす者、盲人を道に迷わせる者、寄留者、孤児寡婦の権利をゆがめる者、姦淫を行う者、隣人を謀殺する者、賄賂をとって裁きを曲げ罪の無い人を死刑にする者は呪われるということに、民はアーメンと言って同意するのです。
そして最後に[「この律法の言葉を守り行わない者は呪われる。」民は皆、「アーメン」と言わねばならない。]と締めくくられています。

祝福と呪い(28章1~68)

イスラエルも批准したことによって、ヤハウェとイスラエルのあいだの契約が発効されました。28章(*1)では、この契約を遵守した場合の祝福と、違反した場合の呪いが宣言されています。

祝福(28章2~14)

もし、あなたがあなたの神、主【ヤハウェ】の御声によく聞き従い、今日わたしが命じる戒めをことごとく忠実に守るならば]、イスラエルは祝福されると言明されています。
直訳すれば「これらのすべての祝福が、あなたにやってきて、あなたに追いつく」となります。ヘブライ語の言いまわしなのでしょうが、「仮にそんな祝福はいらないよと思っても、この祝福のほうが飛びついてくる」というニュアンスを感じるような約束です。

その約束とは、このようなものです。

呪い(28章15~68)

一方[もしあなたの神、主の御声に聞き従わず、今日わたしが命じるすべての戒めと掟を忠実に守らないならば、これらの呪いはことごとくあなたに臨み、実現するであろう。]と宣言されています。いわば罰則規定です。

まず、先の祝福は裏返しになります。

さらに、敗戦によるみじめな境遇に落とされます。

健康も奪われます。

そのほかにも延々と、契約に違反した際にイスラエルに与えられる呪いが宣言され、最後にこう締めくくられています。

なんとも厳しい罰則です。
しかしこの罰則をまぬがれるには、ヤハウェとの契約を守るだけでよいのです。しかし実際には、イスラエルはみずから、祝福よりも呪いを選び取ってしまうことになります。


*1 口語訳聖書など多くの翻訳では28章は68節までとなっていますが、新共同訳ではヘブライ語聖書にあわせて、口語訳の29章1節を28章69節としています。

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#138
作成:2004年4月28日

布忠.com