民数記 第2回

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シナイでの人口調査(1章~4章)

民数記は[イスラエルの人々がエジプトの国を出た翌年の第二の月の一日、シナイの荒れ野にいたとき、主は臨在の幕屋でモーセに仰せになった。]で始まります。

シナイ山に到着してから、約11ヶ月が過ぎていました。この間にイスラエルはヤハウェと契約を結んで"神の民"となり、契約の条文である律法をさずけられてこれを学び、そしてヤハウェがイスラエルと共にいる証拠である幕屋(テント式の神殿)を立てたのです。
そして今、約束の地カナンに向かって前進の準備が始まりました。

兵力の調査

前進をはじめる前に、ヤハウェは指導者モーセと、その兄で大祭司のアロンに、イスラエルの人口調査を命じました。[兵役に就くことのできる二十歳以上の者を部隊に組んで登録]するのが目的です。
これには、あわただしくエジプトから逃げ出してきた民を組織化するという意味もあるでしょう。現代でも兵役には祖国への帰属意識を強める働きがあるといえます。(軍隊そのものの是非という問題もありますが)
さらに推測するなら、イスラエルの現在の規模を数えることで、ヤハウェがアブラハムに約束した「あなたを大いなる国民にする」という契約が、どれだけ実現しているかを確認させる意味もあったでしょう。それは、これから実現されようとしている「国土を与える」というヤハウェの約束の確かさを信頼させるものです。

調査は部族ごと、氏族ごと、家系ごとに数えられました。
ただ、イスラエルを構成する12部族はもともとヤコブの12人の息子からはじまったものですが、ヤハウェに直接所属するレビ族は兵力を数える調査から除外され、かわりにヨセフ族がエフライム族とマナセ族にわけて数えられて、「レビ族+12部族」となっています。(ヨセフの息子であるエフライムとマナセは、ヤコブの養子でもある)

こうして調査された兵役可能な登録者は、部族ごとに次のとおりでした。

表.12部族の兵力
ルベン族46,500人
シメオン族59,300人
ガド族45,650人
ユダ族74,600人
イサカル族54,400人
ゼブルン族57,400人
エフライム族40,500人
マナセ族32,200人
ベニヤミン族35,400人
ダン族62,700人
アシェル族41,500人
ナフタリ族53,400人

以上、総兵力603,550人です。ちなみにエジプトに移住したときはたったの約70人でした。

ただ、この数字については「"千"と解釈されている単語は、実は族長の数を表すのではないか」「いや、部隊の数ではないか」などの説があります。というのは、この時点でこの兵力があったにしては、聖書の他の個所にある兵力の記録が少なすぎる、などの疑問があるからです。
ですがはっきりしたことはわかっていないので、ここでは記録されている通りの数字だったとして先に進みます。

レビ族の扱い

前述のとおり、兵力としては人数調査をされなかったレビ族ですが、彼らは兵役の代わりになすべきことがありました。[掟【おきて】の幕屋、その祭具および他の付属品にかかわる任務]です。イスラエルが移動するときには、レビ族が幕屋を解体して祭具とともに運搬します。宿営する時も彼らが幕屋を組み立てて、おつとめするのです。
レビ族以外の者が手伝ったりしてはいけません。触れたら死刑です。というわけで、幕屋の警護をするのもレビ族の役目になりました。

ここで、レビ族の登録が行われています。他の部族の調査とはことなり、生後1ヶ月以上の男子が登録されて数えられました。
これは全イスラエルの初子に代わって、ヤハウェに召し上げられて仕えるためです。ただし、全イスラエルの初子が22,273人だったのにレビ族の初子が22,000人しかいなかったため、273人分は、一人当たり銀5シェケル(聖所の単位での1シェケルは約10g)が集められて、祭司に渡され(=奉納)ました。(レビ1部族の初子の人数と全イスラエルの初子の人数がほぼ同じというのも、前述の「実際には60万人より少なかったのでは」という疑問が出る理由のひとつです)

陣営

こうして組織化されたイスラエルは、前進するときと宿営する時、次のように陣を組みました。なお、エジプトから出てきてパレスティナに向かうので、東側が前(正面)となります。

イスラエルの中央に、ヤハウェのための幕屋があり、これをレビ族が守ります。
幕屋の東には、レビ族の中のアロン一族が宿営して、聖所を守ります。他の方面はレビ族の御三家がそれぞれ警備に当たりました。西にはゲルションの一族7,500人、南にはケハトの一族8,300人、北にはメラリの一族6,200人。

幕屋を囲むレビ族のさらに外側では、東に、ユダ族の旗を軍団旗として、ユダ、イサカル、ゼブルンの186,400の兵力が宿営。移動する際には先陣を進む、最大兵力の軍団です。
幕屋の南には、ルベン族の旗を軍団旗として、ルベン、シメオン、ガドの151,450が宿営。移動の際にはユダ軍団に続く2番手。そのあとにレビ族が、契約の箱と幕屋を運びます。
西にはエフライム族の旗を軍団旗として、エフライム、マナセ、ベニヤミンの108,100が宿営。移動の際には三番手。
北にはダン族の旗を軍団旗として、ダン、アシェル、ナフタリの157,600。移動の際に殿軍(後方警戒)となるこの軍団が、先鋒ユダ軍団に次ぐ規模となっています。

おまけ

少し細かい話しになりますが、四方の各軍団の構成を、その部族の先祖の関係を考えながら見てみます。
なお、ヤコブの第一夫人レア、第二夫人ラケル、そしてレアの女奴隷とラケルの女奴隷が一人ずつ、この4人の母から12人の息子が生まれ、その12人が12部族の先祖になっています。

先頭のユダ軍団の3部族は、第一夫人レアの息子たちです。中でもユダは、12兄弟の中では四男ですが、のちにダビデやソロモンといった王を輩出することにもなる最有力部族で、先頭に立つ軍団の中心にふさわしいといえます。なお、キリストであるイエスもこの部族から現れることになります。

同じくレアが生んだルベンが、12兄弟の長男でした。しかし不祥事で"長男の栄誉"を失ってしまったのです。ルベン族が第二陣に甘んじているのも、このためかもしれません。
ルベン軍団では、シメオンもレアの息子、ガドはレアの女奴隷が母で、比較的近い部族同士で構成されています。

実はヤコブが愛し、結婚したいと願ったのは、レアの妹のラケルのほうでした。そのラケルがようやく、兄弟の11番目として生んだのがヨセフ。第三軍団のエフライムとマナセはヨセフの息子で、ベニヤミンもラケルが生んだ子(12人の末っ子)です。

第4陣は、他の軍団ほどの近い関係ではないけれど、共通点があると言えなくもない部族で組まれています。この3部族の先祖は、レアの女奴隷が生んだ子と、ラケルの女奴隷が生んだ子なのです。

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#106
更新:2002年12月28日

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