レビ記 第5回

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祭司の就任式(6章12節~16節)

次の[主はモーセに仰せになった]は、祭司、とくに大祭司の職に任じるときの儀式についてです。

[アロンが油注がれて職に任ぜられる日、]とあります。
聖書で"油"は、調理用や照明用としてはもちろんですが、宗教的なものとしても登場します。オリーブ油をおもな材料に、秘伝の調合がされたものだったようです。この油を物にかけたり塗ったりすると、それはヤハウェのもの、つまり聖なるものとされました。これを聖別【せいべつ】といいます。
人の場合も同様で、油をそそがれると、その人はヤハウェのものとして、聖なる職務にあたることになります。その職務とは大祭司や王で、預言者も油をそそがれて任命される場合がありました。

ちなみに「油をそそがれた者」をヘブライ語でメシア、ギリシャ語でキリストと言います。

油そそぎに続いて、穀物のささげものとして上等の小麦粉を約2.2リットルささげます。朝に半分、夕方に残り半分を、調理(*1)してから祭壇にささげ、燃やすのです。

ささげかた(6章17節~7章21節)

次にヤハウェがモーセにおおせになったのは、それぞれの奉納物の取り扱い方です。(今までと重複する部分は解説を省略します)。

いけにえはヤハウェにささげられたものなので、すでに神聖なもの。祭司の取り分についても、これを神域の外には持ち出さず、幕屋の庭で食べます。たいへんなのは、あとかたづけ。これまでも見たとおり、一度聖なるものとされたものは、間違った取り扱いをしないように徹底的に片付けなければいけません。
青銅のなべを使ったなら、よくみがいて水でゆすげばいいのですが、土鍋を使った場合は、油や肉汁が染み込んだまま残ってはいけないとばかりに、粉々に砕いて処分しなければなりません。

また、何らかの理由により「けがれた状態」(たとえば、けがれているとされた動物に触れた場合など)になった人は、この聖なる食事を味わうことは禁じられています。それはヤハウェをけがすことにつながるからです。

いけにえの血を祭司が扱うときに、もし祭司の服に血がついた場合も、外に持ち出さず聖域の中で洗濯しなければなりませんでした。
どうも「これくらいなら、いいだろう」というのは通用しないようです。

なお、聖書には書かれていませんが、ユダヤ教の戒律によると、青銅の祭壇にはある高さに線が引いてあって、焼きつくすいけにえの血はこの線より上に、その他のいけにえはそれより下にそそがれたのだそうです。
そして脂肪はすべて燃やしてヤハウェにささげられ、残りが祭司たちの食べる分になります。

ところで、もし祭司の取り分を食べきれなかった場合(何しろ、のべつ幕なしにささげられ続けるのです)について。
原則として、ささげられたその日のうちに食べなければなりませんでしたが、罪の賠償などではなく随意にささげられたものについては、食べ残しを翌日に食べても良いとされました。それでも残った分は、焼却しなければなりません。もし当日に食べるべきものを翌日に食べたり、翌日までしか許されていないものを三日目に食べた場合、死刑に相当します。


*1 穀物の奉納物の調理方法
材料:上等の小麦粉、オリーブ油。
小麦粉にオリーブ油を混ぜ、よく練ります。現代のパンならここで寝かせて発酵させるところですが、神域では発酵はご法度。そのまま何個かにちぎって、鉄板で焼いてできあがり。

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#094
作成:2001年11月9日
更新:2002年12月13日

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