出エジプト記 第26回

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幕屋の建築

主の臨在(りんざい:主なる神ヤハウェが、今確かにここにいるということ)を表す、シナイ山頂の「燃える火のよう」な現象。そしてそこへ登っていったモーセ。モーセはそこで40日40夜を過ごすことになります。
そんなに長いあいだモーセが何をしていたのかというと、組み立て式神殿「幕屋」についてヤハウェの指示を受けていたのです。

この幕屋をつくることの意味を、ヤハウェはこう言っています。
「わたしのための聖なる所を彼らに造らせなさい。わたしは彼らの中に住むであろう」

天地宇宙とその中のあらゆる物質を生み出してなお余裕綽々(しゃくしゃく)というヤハウェが、たとえアテネの巨大神殿であろうとも人が手で作ったなんかには納まるわけがない、と使徒パウロはアテネでギリシャ人に証言しました(使徒言行録17:24)。実際、ヤハウェがちょっとシナイ山頂に顔を出しただけで、全山がとどろき、煙と雷と火が満ちるほどなのです。

しかしヤハウェは、イスラエルの中の幕屋に住み、イスラエルとともにいる、と約束しました。これ以降、イスラエルは「主なる神ヤハウェが私たちともにおられる」という実感の中で生きられるようになるのです。

献納(25章1節~9節)

主はモーセに、「人々に命じて献納物を持って来させなさい」と命じました。ただし、それらは、徴用されるのではなく、人々が自主的に献納しなければならないとされました。

主が指定した献納物は次の通りでした。

金、銀、青銅。青、紫、緋(ひ)色の毛糸、亜麻糸、山羊の毛。赤く染めた雄羊の毛皮、ジュゴンの皮、アカシヤ材。ともし火のための油、聖別の油と香草の香とに用いる種々の香料。エフォド(祭司の装飾の一つ)や胸当て(これも祭司用)にはめ込むラピス・ラズリやその他の宝石類。

これらは、エジプトを脱出する際に、エジプト人から贈られた品々でしょう。しかしイスラエルは、エジプト人からの品々を、偶像崇拝のためにも使うことになるのです。(それもこのあとすぐに)

主ヤハウェはこれらの材料で「わたしが示す作り方に正しく従って、幕屋とそのすべての祭具を作りなさい」と命じました。

祭具の作り方

契約の箱(25章10節~16節)

まず最初に造り方を示されたのは、幕屋の中に安置される「契約の箱」でした。別の箇所では「神の箱」「あかしの箱」とも呼ばれています。幕屋の最奥、大祭司だけが一年に一度だけ入れる「至聖所」という部屋に置かれます。

この箱を英語ではArk of the Covenantあるいは単にArkと言います。そう、あのハリソン・フォード主演の冒険映画「失われたアーク」のアークです。
寸法はメートル法に換算して縦110cm、横約67cm、高さも約67cm。木製ですが内も外も純金でおおい、さらに金の飾りがつけられます。これに金のわっかがつけられ、棒をとおして、移動の際には祭司がかついで行くのです。

まるでお御輿のようで、これ自体「ありがたいありがたい」とご神体扱いされそうです。が。
この箱の中に収められるのは、まずイスラエルとヤハウェの契約書とも言える、十戒をきざんだ石版。ヤハウェが荒野でイスラエルに与えた食物マナ(*1)。そして、ヤハウェがアロンの家系を祭司職として選んだ証拠となる、芽を出し花が咲いたアロンの杖(*2)。
つまり、神やご神体が入っているのではなく、神がイスラエルとかかわりを持っている証拠が入れられたわけです。

あがないの座(25章17節~22節)

次に「購(あがな)いの座」というものの作り方が示されました。これは一体なんでしょう。
モノ自体は、純金制で、縦約110cm、横約67cm。金製のケルビム(*3)の像が両端に置かれ、内側を向いて、広げた翼でこの「座」を覆っていて、座が目にふれないようにしています。これを、契約の箱の上にフタとして置き、ヤハウェはケルビムのあいだ、購いの座の上から、イスラエルに語ると言うのです。
つまり、幕屋がヤハウェの城だとするなら、購いの座はヤハウェの玉座です。

机(25章23節~30節)

続いて、至聖所の前室にあたる「聖所」と呼ばれる部屋に置かれる机の作りかたです。
木製で、縦約90cm、横約45cm、高さ約67cm。純金で覆われた上に、金の縁飾りがつけられます。この机にも、かつぐための棒を取りつける輪がありました。

この机には、純金製の皿、ひしゃく、小ビン、水差しが置かれ、ワインの献納献納に使われます。また、イスラエルの12部族を表す12個のパンも、献納されてこの机に置かれるのです。

燭台(しょくだい:ローソクを立てる台)(25章31節~41節)

この燭台は、一本の支柱があり、その支柱から6本の支柱が左右に出ている、合計7本の支柱からなります。そして、これも当然のように、純金製。芯切りバサミなどの備品まで純金製で、これらを約30kgの金でつくれと指示されました。
さらにヤハウェは、燭台の装飾のデザインまで細かく指定しています。

窓がなかったらしい幕屋の中の闇にともる燭台は、混沌の中でヤハウェの「光あれ」の言葉で創造が始まったことを思い出させます。
また、幕屋はヤハウェがイスラエルと語る場所ですが、詩人は「神の言葉は、この世という闇を旅するときに足元を照らすともし火だ」と歌いました(詩編119:105)。

このように祭具の作り方についてことこまかく指示した主ヤハウェは、さらに、今教えたとおりに「注意して作りなさい」と念を押したのでした。

おまけ

幕屋は、ソロモン王がエルサレムに建てた神殿に、その役目を引き継ぎます。今回登場した祭具も、神殿で使われるようになります。
その神殿は、今はありません。ユダヤ教徒があの「嘆きの壁」で祈っているのは、神殿が再建されるようにと祈っているのです。

現在、神殿があったとされる場所にはモスクが建てられていますが、イスラエルが神殿を建てるためにモスクを破壊すれば、100%確実に中東戦争が再発します。第3次世界大戦が起きるとすれば、エルサレム旧市街がそのきっかけになるだろうとも言われています。

ところが最近、「考古学的調査の結果、神殿があった場所は、モスクから90m北だった」という説がエルサレム・ポスト紙に発表されました。
これが事実なら、モスクを壊さずに神殿を再建できる?(すぐ隣りというだけでもイスラム教徒は複雑でしょうが、逆にイスラエルとアラブの共存の象徴になるかも)
ともかく、ユダヤ人は本気で神殿が再建される日が来ると信じています。そしてその日のために、本号に登場の祭具も準備されているそうです。模型として展示するためではなく、実際に神殿で使うために、ヤハウェが命じた通りに作られているといいます。(参考:月刊レムナント2000年7月号)


*1 民数記17章

*2 出エジプト記16章33

*3 ケルブの複数形。
じゃあケルブは何かというと、よくわかりません。見た目は人間に翼がはえたような姿をしているらしく、天使の一種族らしいです。
ここでは「購いの座」を守るようにケルビム像が置かれましたし、アダムとエバが追放されたあと、エデンの番兵になったのもケルビムでした。武を担当する天使、といったところでしょうか。

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#078
作成:2000年10月26日
更新:2002年12月16日

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