出エジプト記 第24回

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契約の書(4)

祭り(23章13節~19節)

これまでも何度も繰り返されているように、この契約でイスラエルが守るべき義務は、ヤハウェの命じたことをすべて守ること、とくにヤハウェを離れて他の神々へ行かないことでした。
そして、契約を毎年確認するために、ヤハウェはあらためて祭りを制定したのです。ここで定められた三大祭りは、今もなお大事に守られています。

<除酵祭>
「じょこうさい」と読みます。他の翻訳では「種を入れないパンの祭り」とも訳されています。パン種(ぱんだね)つまりパンを発酵させる酵母を除く祭りという意味で、過ぎ越しの祭りのことです。
ヘブライ語でペサッハ(PESSAH)と呼ばれるこの祭りは現代でも祝われていて、ユダヤ人家庭では家族全員で正餐のテーブルを囲み、家長が出エジプト記を朗読します。この祭りは、エジプト脱出の際に、パンを発酵させる暇もなく神ヤハウェによって導き出されたことを記念しているのです。
七日間の祭りの間、発酵食品は一切禁じられ、普通の発酵したパンの代わりにマツァというクラッカーを食べます。

<刈り入れの祭り>
小麦の刈り入れの最初の収穫(初穂:はつほ)をささげる祭りで、七週の祭りとも呼ばれるように、過ぎ越し祭の7週後に祝われる1日だけの祭りです。イスラエルはエジプトを出て7週後にシナイ山についたので、律法授与記念日としても知られています。
ヘブライ語でシャヴオット(SHAVUOT)と呼ばれるこの日、ユダヤ教のシナゴグでは旧約聖書のルツ記が朗唱されます。
伝承では、ダビデ王はシャヴオットに生まれ、シャヴオットに没したと伝えられています。
ペンテコステ(ギリシャ語の「50日目の祭り」から)とも呼ばれるこの日は、キリスト教の3大祭でもクリスマス以上に重要な日です。キリストの後任として聖霊が弟子たちのところにやってきた日だからです。

<取り入れの祭り>
のちに「仮庵(かりいお)の祭り=スコット(SUCCOT)」と呼ばれるようになるこの祭りは、その年の収穫がすべて済んだときの秋の収穫感謝祭です。
現代でも、人々はスカと呼ばれる仮庵(かりいお)で7日間を過ごします。「庵」というのはそもそも粗末なものですが、それに「仮」なんてつけて訳語としているくらいだから、スカというのはもう小屋ともテントとも呼べないような代物です。そこで人々は、危険と不安でいっぱいのはずの荒野でヤハウェが確かに先祖を守り養ったことを思い出すのです。

これらの三度の祭りのときに、イスラエルの男はすべてヤハウェの前に進み出ることとされました。イエス・キリストも、12歳になって一人前の男に数えられるようになったとき、過ぎ越し祭のためにエルサレムの神殿に詣でた(ヤハウェの前に進み出た)ことが記録されています。

この個所には、それぞれの祭りの作法も定められています。たとえば「子山羊をその母の乳で煮てはならない」など。
収穫を感謝することは、どの民族の宗教にもあるでしょう。そしてイスラエルの近くの民族の宗教に、子山羊をその母の乳で煮て、その汁を収穫後の畑にまいて来年の豊作を願うという風習がありました。
ヤハウェの祝福が保証されているイスラエルには、そんなまじないをする必要がないばかりか、逆にそういう異教的まじないをすることはヤハウェの祝福を信用しないことになります。

守りと祝福(23章20節~33節)

次にヤハウェは、イスラエルの前に「使い」を遣わすと約束しました。この使いは、イスラエルを道中で守り、ヤハウェが準備している土地へ彼らを導くのが役目です。
イスラエルは、ヤハウェの名のもとにやってくるこの使いに注意を払い、その声に従い、逆らってはならないとされました。背くなら、その使いがイスラエルをゆるさないというのです。
民は、ヤハウェに従うようにその使いに従わなければならない。使いに従うなら、ヤハウェに従った場合のように、この契約による恩恵をイスラエルは受けます。イスラエルの前の敵はヤハウェによって絶やされるのです。

ヤハウェの全権大使のようにイスラエルと行動をともにするというこの「使い」とは何者でしょう。天使?
もしかしたら、マリアからて生まれてくる以前のキリストではないか、という解釈もあります(キリストはマリアから生まれるはるか以前、世のはじめから、ヤハウェとともに存在していました)

さらに、祝福が約束されています。
第一に、パン(食料)と水の保証。第二に、イスラエルの中から病を除くいう約束。第三には、流産する女も不妊の女もいなくなる=民族繁栄が保証されました。そして第四には、天寿をまっとうさせるという断言。
ここは砂漠のような荒野です。本当なら食料も水も保証されない、病気になっても安静にすることすら望みがたい、妊婦が養生することも難しい、老人にはなお厳しい環境です。しかしヤハウェはイスラエルを守ると約束しているのです。

ところでヤハウェは、「敵をイスラエルの前から追い払う」と繰り返し約束していますが、興味深いのは、今すぐ追い払うのではなく、徐々に追い払うと言っている点です。
今すぐそれらの民族がいなくなると土地が荒れて野獣が増えるから一年間は他民族を追い出さない、徐々に追い出すからイスラエルはそのあと国土を受け継ぐというのです。もう、至れり尽くせりという感じです。

そしてヤハウェは、この契約条項の提示を終えるにあたって、イスラエルの領土を葦の海(エジプト国境)からペリシテ人の海(地中海)まで、南の荒れ野から大河ユーフラテスまでにすると約束し、またくれぐれも異民族の神々をおがんだりしないようにと念を押したのでした。

おまけ

現代でも、律法を大事にする正統派ユダヤ教徒は「子山羊を母親の乳で煮てはならない」を牛にも適用し、乳製品と牛肉を一緒に料理することはしないそうです。
このため、イスラエルのマクドナルドではチーズバーガーを出せなかったのだそうです。(その後、植物性チーズを使ったチーズバーガーを開発したという噂です)

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#076
作成:2000年10月13日
更新:2002年12月13日

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