出エジプト記 第9回

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ファラオvsヤハウェ(4)(10章21節~10章29節)

第九の災厄

第三、第六の災厄と同じく、第九の災厄はファラオへの予告なしにエジプトを襲いました。ヤハウェの指示によってモーセが手を天にむかって伸ばすと、エジプト全土が暗闇におおわれたのです。手に感じるほどの暗闇のために、人々は立ち上がる事もできないまま、三日間に及んだと記録されています。

これまでの、家畜や農作物や人間にまで大打撃を与えてきた災厄に比べたら、暗闇ぐらいどうだというのかって?これこそヤハウェがエジプトを打ちのめすための、とっておきの災厄だったのです。
ファラオへの予告がなかったとはいえ、イスラエル人居住区であるゴシェン地方だけ光があふれていたので、この暗闇がイスラエル人の神、ヤハウェからの災厄であることは誰の目にもあきらかでした。そしてこれは「奴隷であるイスラエル人の神、主」が「エジプト人の神、太陽神ラー」を隠してしまったということだったのです。ファラオという称号の中にもラーの名がありますから、これはファラオの権威にもかかわることです。

エジプトのむなしい神々よりはるかにまさる、唯一の神、主ヤハウェ。その現実をつきつけられ、ファラオはさらにモーセたちに譲歩します。妻子は連れていってもよい、と。ただし、そのまま逃亡されても困るので、牛と羊は残していくようにと条件をつけました。
しかしイスラエルにとっては、エジプトを出ていくのが最終目的。モーセは、「『妻子は連れていってもよい』どころではなく、エジプトの牛や羊を私たちに連れていかせなさい。私たちの家畜もひづめ一つ残さず連れて行き、それらのなかから主にささげるいけにえを選ぶのです」と答えたのです。

ファラオにしてみれば最大限の譲歩を示したつもりだったでしょうが、意図的に怒らせようとするかのようなモーセの挑発的態度に激怒し、「引き下がれ、二度と姿を見せるな。今度会ったら生かしておかない」と追い出しました。これにモーセも「二度とお会いしようとは思いません」と返して退出したのですが、しかしファラオはもう一度、モーセを呼び出さなければならなくなるのです。

ところで、なぜモーセは交渉のたびに強気になっていくのか。イスラエルをエジプトでの奴隷状態から解放するだけなら、今回のファラオの譲歩で十分で、そのまま”約束の地”カナンへ出発すればよかったのではないか。
ヤハウェはモーセを通して、3章の最後での約束「エジプトから分捕り物を持って行く」を実行しようとしているのです。イスラエルのエジプト滞在は430年間。いつから奴隷状態になったかわかりませんが、その労働に対する報酬をいただかずに出ていくつもりはない、というわけです。

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#061
作成:2000年2月2日
更新:2002年12月11日

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