創世記 第63回 終

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出エジプト記へのプロローグ(50章22節~26節)

父ヤコブことイスラエル翁の死後、ヨセフはエジプトで110歳まで生きました。父の一族を養いつづけられた経済力を考えると、最後までエジプトの国家に重用されたのだと思います。
また、ヨセフはひ孫まで見ることができたとも記録されています。家庭も仕事も晩年まで祝福された生涯だったと言えるでしょう。

そのヨセフもいよいよこの世を去る時が来ると、彼は兄弟たちに、ヤハウェは必ず一族をかえりみてくださり、先祖に誓った土地カナンへとエジプトから導き出してくださることを思い出させました。
これは希望的観測ではなく確信でした。彼らには疑う余地もないことだったのです。すでに一族は70人を超える規模。子孫についての約束を果たしつつあるヤハウェが、土地についての約束だけはすっぽかす、などと考えなければならない理由はありません。

でもそれは、遠い遠い将来のことになります。今はヨセフの功績のゆえに、イスラエル翁の子孫はエジプトでよい地を所有して暮らしています。でもかつてヤハウェはアブラハムに「あなたの子孫は異国で寄留者となり、四百年間奴隷として苦しむ。カナンに戻ってくるのはその後だ」と予告しているのです(→15:13)。
それでも、はるか未来になっても、時間を超越するヤハウェは約束を必ず実現するのです。子孫を増やすという約束だって、ヤコブの子らがようやく70人を超えたのは、ヤハウェとアブラハムの契約から200年以上もたってからでした。(*1)

この確実さを前提に、ヨセフは兄弟たちに頼みます。ヤハウェがあなたたちをエジプトから約束の地へ連れ出すときには、わたしの遺骨をここから運び出して一緒に連れていってくれるようにと。
というのは、ヨセフの場合どう考えても、父のようにカナンに埋葬してもらうのは難しかったからです。何しろヨセフはファラオに次ぐ権力者であり、国を救った英雄。日本だったら神社のひとつも建てられるくらいなものです。

実際に、ヨセフの遺体は防腐処置(ミイラ化)されて、エジプトで棺におさめられました。しかしヨセフの願いは兄たちによって代々受け継がれました。そして長い年月の後にイスラエルの民がエジプトを脱出してカナンへと旅立つとき、指導者モーセ(*2)はヨセフの遺骨をたずさえていくことになるのです(→出エジプト記13:19)。

ヨセフの死をもって、創世記は終わっています。ヤハウェによる天地宇宙の創造からイスラエル民族の起源までを記録した一巻は、これで幕を閉じます。


*1 ヤハウェの約束はアブラハム75歳のとき(創世記12章4)。25年後にイサクが生まれ(同21章5)、イサクが60歳でヤコブが生まれた(創世記25章26)。ヤコブがエジプトに来てファラオを会ったのは130のとき(同47章9)で、このときに一族は70人を超えていたのだから、最初の約束からは215年が過ぎていた。
(引用と計算の誤りを訂正しました。ご指摘くださったK.S.さん、ありがとうございました。)

*2 プリンス・オブ・エジプトこと、イスラエルの指導者モーセは、イスラエル翁の子レビ(ヨセフの兄)の子孫。

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2版:2003年05月20日
更新:2007年03月06日

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