創世記 第59回

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エジプト定住 (46章28節~47章12節)

ゴシェン入り

愛する息子ヨセフに会える!一族とともにエジプト入りしたイスラエル翁は、エジプトに入国するとユダをヨセフに遣わし、ゴシェンで会おうと伝えます。
愛する父ヤコブに会える!ユダの迎えを受けて、ヨセフは政務もそこそこに、馬車でゴシェンに飛んできました。

こうして老イスラエルとその子ヨセフは、何十年ぶりかで再会を果たしたのです。ヨセフは父を見るやいなや、父の首に抱きついて泣き出し、父も「わたしはもう死んでもよい」と喜びました。

その後ヨセフは、一族をゴシェンに住まわせる算段をはじめます。
外国人ヨセフが地位を利用して一族に便宜を図った、しかもこの飢饉の最中にエジプトのよい土地を異民族イスラエルの所有とした、などといわれては今後の政務にも差し障りがでます。ここはあらためてファラオのOKを取りつけておいたほうがよさそうです。

さいわいというか、羊飼いという職業はエジプト人の忌み嫌うものだった上に、ゴシェンは家畜が飼われるところでもあったようです。職業は羊飼いだといえばファラオも認めるだろうし、エジプト人たちも「そんな連中はゴシェンにでも放り込んでおけ」と異存はないでしょう。

イスラエルとファラオの会見

ヨセフは兄弟のうちから5人を連れて、ファラオに自分の一族が来きたと報告しにいきました。
その席でファラオがヨセフの兄弟たちに職業をたずねたとき、兄弟たちは(ヨセフが指図していた通りに)先祖代々の羊飼いであると答え、飢饉で牧草もないカナン地方から来たので、エジプトに寄留しゴシェンに住まわせてほしいと陳情したのです。

ファラオはヨセフに、お前の父上と兄弟たちがやって来たのだし、国のことは任せてあるのだから、最も良い土地に住まわせるがよい、ゴシェンを望むならそれもよかろう、と答えました。さらに、有能な者があるなら、王の家畜係りに採用しようとも言いました。その後だれかがファラオに採用されたかは聖書に記録がありませんが、とにかくこうして一族はエジプトに移り、そして『出エジプト』までの長いあいだ住むことになったのです。

ヨセフは兄弟たちを退出させると、父をファラオの前に連れてきました。この場面に興味深い記録があります。田舎から飢饉を避けてやって来た一介の遊牧民であるイスラエル翁が、大国エジプトの統治者ファラオを祝福した、と書かれているのです。

ふつう祝福というのは、上から下に与えられるものではないでしょうか。しかしイスラエルは平然とファラオを祝福し、ファラオもごく普通にこれを受けているのです。
社会的身分は段違いに低いイスラエルですが、エジプト移住がヤハウェの摂理によるものという確信のもとで、ファラオのためにヤハウェに祈るという意味を持って祝福したのではないかと思います。
またファラオも、神々の特別の加護があるとしか思えない130歳というイスラエル翁の年齢への敬意と、神の霊が宿るヨセフ(→41:38)の父に対する畏敬から、イスラエル翁の祝福を喜んで受けたのでしょう。

ところでこの席で、イスラエル翁はファラオにこうも言っています。

わたしの旅路の年月は百三十年です。わたしの生涯の年月は短く、苦しみ多く、わたしの先祖たちの生涯や旅路の年月には及びません。

確かに波乱万丈、苦労ばかり多いヤコブの人生でした。
父が兄を、母が自分を偏愛するというねじれ家庭に育ち、父と兄を出し抜いたことで家を追われた。ラバンの家で20年も働き、そこから夜逃げ同然に逃げ出した。愛するヨセフを失った(と思い込んだ)のも大きな悲しみだった。
ヤコブははこれから17年後、147歳で死ぬのですが、これも先々代(アブラハム175歳)や先代(イサク180歳)に比べたら短い生涯です。
ファラオの前で謙遜もあるでしょうが、それにしても大変な人生を生きてきたものです。

ともあれこうしてヨセフは、ファラオの言葉にもとづいて、肥沃なナイルデルタの東部ゴシェンを、所有地として一族に確保しました。大飢饉の最中とはいえ、「そこは、ラメセス地方の最も良い土地であった。」と記録されています。
そこでヨセフは、父と兄弟たちと一族すべてを養いました。

おまけ

イスラエルの移住はまず飢饉から逃れるためでしたが、それ以上の意味を持つことになります。
父祖の代から、宗教的純潔を守るために異民族との婚姻を避けてきたことは今までにも見てきましたが、それでもカナンにいるうちは、エサウの例もあるように混血を避けるのは困難でした。
しかし、エジプト人は羊飼いを忌み、しかも外国人を蔑視するところもあったので、混血が進んでエジプト人の中に埋もれていったり、エジプトの宗教に染まっていくことなく、独立した民族としてヤハウェへの信仰を守っていく結果になるのです。

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2版:2003年05月20日

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