創世記 第45回

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ベテルへの帰還(35章6節~15節)

かつて、兄エサウに命を狙われ逃げ出したとき。ヤハウェがヤコブの前に現れ、アブラハムやヤコブに示したと同じ約束を示しました。(参考→創世記28章)
それから20余年が過ぎ、あのときには身一つだったヤコブは、自分の家族と多くの財産とともに、ベテルへ帰って来たのです。そこでヤコブがまずやったことは、祭壇を築くことでした。つまりヤハウェを礼拝する場所を真っ先に準備したわけです。

ヤハウェはヤコブに「あなたの名はもはやヤコブと呼ばれない。イスラエルがあなたの名となる。」と告げました。
聖書では名を変えられるのは実体が変えられることですが、「足を引っ張る者」つまり我を第一とするヤコブという名から、「神は支配したまう」「神が統べたまわんことを」つまり自分より神を第一とするイスラエルという名に変えられたのです。

さらにヤハウェはヤコブに言いました。

わたしは全能の神である。産めよ、増えよ。あなたから一つの国民、いや多くの国民の群れが起こりあなたの腰から王たちが出る。わたしは、アブラハムとイサクに与えた土地をあなたに与える。また、あなたに続く子孫にこの土地を与える。

「わたしは全能の神である」ではじまるのはいつものフォーマットですが、約束の前文になっていて、「全能の神が約束することである」という確かさを保証しています。
次に「産めよ、増えよ。」という祝福があります。これは、ヤハウェが人類の祖アダムとエバを祝福したのと同じ祝福です。ヤコブを、その祝福を継承する正統とするというのです。
次に、ヤコブの子孫は王国となるという約束が与えられます。この言葉どおり、この時点では一介の遊牧豪族であるヤコブの子孫がイスラエル王国を建国することになるのです。

ヤコブの子ら

伯父ラバンのもとに寄留していたとき、すでにヤコブには11人の息子が生まれていましたが、ここで12人目の息子が生まれます。この12人が、イスラエル12部族の祖となります。

ラケルの死とベニヤミン(35章16節~20節)

さて、おそらくは父イサクのもとへ向かって、ヤコブたちがベテルを出発したときのこと。のちにベツレヘムとも呼ばれるエフラタへの途上で、ヤコブの実質4人の妻のうち最愛ラケルが産気づきました。

しかし。
ラケルはこの出産のために、命を落とすことになったのです。その難産のゆえに、ラケルは最後の息を引き取る時に、その子をベン・オニ(わたしの苦しみの子)と呼びました。しかしヤコブはベニヤミンと名付けました。
ベニ・ヤミンとは「右手の子」の意味ですが、右手は力・権威・名誉を象徴するので、新共同訳聖書では「幸いの子」と訳しています。

ヤコブはラケルを葬り、そこに記念碑を建てました。
ラケルが産気づいたのは[一同がベテルを出発し、エフラタまで行くにはまだかなりの道のりがある]地点、ラケルが葬られたのは[エフラタ、すなわち今日のベツレヘムへ向かう道のかたわら]と記録されています。
現在「ラケルの墓」と伝えられているのはエルサレムの南にあるベツレヘムなのですが、「ベツレヘムへ向かう道のかたわら」であってベツレヘムではないことと、産気づいたのもエフラタ(ベツレヘム)までかなり距離がある地点であることから、実際にはもっとベテル寄りのところに葬られたのではないかと想像します。
(そう想像したい理由は、のちに12部族でカナンを分割したとき、エルサレムの南8kmにあるベツレヘムはユダ族の地になりますが、エルサレムの北19kmにあるベテルなら、ラケルが命とひきかえたベニヤミンの子孫、ベニヤミン族の地になるからです)

ルベンの失敗(35章21節~22節)

唐突に、ルベンが、ヤコブの側室ビルハと姦通したことが記録されています。ルベンはヤコブの長男ですが、父の寝台に上りそれを汚したために長子の権利を失うことになりました(→49:4)。

ヤコブの子ら(35章22節~26節)

伯父ラバンのもとに滞在中に生まれた息子たちにベニヤミンを加えて、12人が母親ごとに紹介されます。

レアの息子 :ルベン、シメオン、レビ、ユダ、イサカル、ゼブルン
ラケルの息子:ヨセフ、ベニヤミン
ラケルの召し使いビルハの息子:ダン、ナフタリ
レアの召し使いジルパの息子 :ガド、アシェル

いちいち覚える必要はありませんが、この12人が、イスラエルの12部族の祖となります。

おまけ

今回登場した人物の、英語でのつづり
ルベン   Reuben
ユダ    Judah
イサカル  Issachar
ゼブルン  Zebulun
ヨセフ   Joseph
ベニヤミン Benjamin
ダン    Dan
ナフタリ  Naphtali
ガド    Gad
アシェル  Asher
レビ    Levi

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2版:2003年05月19日

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