創世記 第43回

menu

寄り道(33章17~20節)

エサウが颯爽と先に帰っていくと、ヤコブはエサウのあとをついていくのではなしに、近くのスコトに移動して自分のために家を建てた、と記録されています。
おそらく。昨日までの恐れ、昨夜のヤハウェ(の使い)との格闘、そして今日のエサウとの再会と、心身ともにヤコブは消耗していたのかもしれません。そんなこともあって自分のペースで進みたいので、ヤコブはエサウから手伝いを借りることまでも断ったのでしょう。
この時、家畜小屋まで作ったと記録されているので、結局この地にはしばらく滞在したようです。(スコトは”小屋”の意味)

その後ヤコブは、カナン地方の中心地であるシケムに移動し、天幕を張って宿営しました。地元の者から土地を買って祭壇を築いたと記録されており、ここでも長期の滞在をしたようです。

ヤコブはこの祭壇をエル・エロヘ・イスラエル(イスラエルの神である神)と名付けました。「世の中には神と呼ばれるものは多いが、わたくしイスラエルの神(つまりヤハウェ)こそが神である」という意味です。
このシケムの地は、父祖アブラハムがヤハウェに示されて故郷を出発し、カナン地方入って最初に祭壇を築いたところであり、ヤハウェがアブラハムに「あなたの子孫にこの土地を与える」との約束を最初に示した地です(→12:1-7)。

ヤコブにとって、シケムにいたって「やっと父祖の地に帰ってきた」という実感が湧いてきたことでしょう。がしかし、ヤコブはここで足を止めるべきではなかったのです。
ヤコブはヤハウェから「あなたの故郷に帰りなさい」と言われて、ラバンのもとを脱出してきました(→31:13)。あとでヤハウェに「ベテルに向かえ」と言われるのですが、かつてヤコブがベテル(神の家)と名付けた地(→28:10-19)こそ、ヤハウェに従うヤコブの故郷であるべきところだったのです。

ヤコブがシケムでなぜぐずぐずしていたのかは記録されていません。兄エサウとは和解したといっても、父イサクも手ひどくだました過去がありますから、なかなか帰りづらかったのでしょうか。
でもこの寄り道のために、とんでもない事件が起きてしまうのです。

ディナの災難(34章1節~12節)

ヤコブたちがシケムの町の近くに腰を下ろしてからしばらくたったある日。ヤコブとレアの娘ディナが、地元の娘たちのところに遊びに行きました。
事件はその時におきました。シケムという男がディナを見初め、彼女をとらえて犯したのです。

現代の私たちから見たら犯罪にしか見えないシケムの行動ですが、このあとシケムは父ハモルに、ディナとの結婚の意志を伝えます。ディナに心を奪われ、愛し、言い寄ったと記録されているのです。そしてハモルも、息子をとがめることはせず、ヤコブのところに縁談に行きます。どうも彼らにとっては、結婚についてのごく普通の手続きだったようです。それにハモルにしても、有力者ヤコブと姻戚関係になるのは好都合でした。

しかし彼らにとってはよくある結婚のやり方であったとしても、ヤコブにとっては「娘のディナが汚された」ということでした。ディナの兄弟たちも[皆、互いに嘆き、また激しく憤った]とあり、それは[(シケムが)イスラエルに対して恥ずべきことを行ったからである。それはしてはならないことであった]と説明されています。

キリスト教では、アダムのもとに神がエバを連れてきたことから、結婚とは神によって男女が結ばれることであるととらえます。結婚は神聖なものであり、人の欲望よりも神の意志にもとづくべきものなのです。
さらに、聖書に描かれるイスラエルは、宗教的純潔を守るために、異教徒との混血を忌み嫌いました。他民族の男が無理矢理に一族の女の純潔を奪うなど、とうてい許容できることではなかったのです。

ヤコブの子らは怒りに燃え、そして。。。

おまけ

掲示板に、人物名のアルファベットのつづりを加えてほしいという書き込みをいただきました。
(たぶん、英語のアルファベットですよね。ヘブライ語のアルファベットだと、フォントの問題が)

というわけで、毎回というわけではありませんが、少しずつ紹介することにします。とりあえず今回名前が出た主要人物から。

ヤコブ   Jacob (※)
エサウ   Esau
アブラハム Abraham
ディナ   Dinah
レア    Leah

※ 新約聖書に登場するヤコブは、Jamesになります。

前へ 上へ 次へ

2版:2003年05月19日

布忠.com