創世記 第34回

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契約の確認(26章1節~6節)

大きな飢饉があり、父アブラハムのときと同様に、イサクも南のゲラルに避難しました。アビメレク王が支配する、ペリシテ人の土地です。
そこからさらに肥沃なエジプトへと避難しようとしたのですが、ヤハウェはこれを制止しました。アブラハムに与えると約束したカナンにとどまるなら、イサクとともにいて祝福し、この約束の地をイサクと子孫に与えてアブラハムとの誓いを果たす、と言うのです(ヤハウェの許可によって、イサクの子孫はのちにエジプトに移住することになります)。

そしてヤハウェは、イサクに3つの約束を与えました。それは
----子孫を天の星のように増やすこと。
----土地を所有する、つまり国家となる。
----全人類は、イサクの子孫によって、神に祝福される。

今まで何度もアブラハムに示してきた誓いを、イサクをアブラハムの後継者として、あらためて確認したのです。このためイサクは、カナンを離れるのをやめて、ゲラルに滞在することにしました。

イサクの失敗(7節~11節)

ところがイサクはゲラル滞在中に、まねしなくていいところまで親父のまねをしてしまいます。
「きわめて美しい」と記録されている妻リベカ。イサクは「土地の者がリベカを奪うために自分を殺すかも」と心配して、妻を妹と偽ったのです。

しかし、アビメレクもアブラハムの時に懲りていたのか、早々に二人が夫婦だと気づいて勅を出したので、リベカは貞操の危機に会うことはありませんでした。(アブラハムの時から時代がたっていますので、『アビメレク』は王の称号で、先代のアビメレクから話しを聞いていたのでしょう)

ペリシテ人との争い(12節~22節)

その後イサクは、「主の祝福を受けて」経済的に非常に繁栄していきます。
ところが、よそものに成功されておもしろくないのは、地元のペリシテ人たちです。イサクは多くの召使いを持つようになったと記録されていますから、よそ者にペリシテ人が雇われるようにもなったのでしょう。

不満が高じたペリシテ人は、アブラハムが掘った井戸を埋めてしまいました。
これはアビメレク王としては、アブラハムとの条約に抵触することになりかねません。それでなくても、自分の王国内にこのまま寄留させておくには、イサクの一族はあまりに大きな勢力になっており、退去を求めました。

イサクはこの要求に従い、谷に去りました。この谷はワディと呼ばれるたぐいのもので、雨季は激流ですが乾期は川底まで乾きます。イサクはここなら地下水が得やすいと考えたのでしょう。この周辺にはアブラハムも生前に井戸をいくつも掘っていました。

ところが、イサクがここで新たに井戸を掘ると、難癖をつけるために見張っていたのか、すぐにゲラルの羊飼いが来て、新しい井戸について地元民として権利を主張します。この新しい井戸は、アブラハムとアビメレクの契約にはなかったものだとでも、言いがかりをつけたのでしょう。イサクが別に井戸を掘ると、それについても争いとなりました。

ひとつめの井戸に、イサクは「争い」という名を付けました。水を巡ってのよくある争いと思ったからでしょう。しかし自分が退いても追ってきて喧嘩をふっかけるゲラル人に、水が目的ではなくイサクたち一族に対する敵意のためだと気づき、ふたつめの井戸には「敵意」と名付けました。

しかしさらに一歩しりぞくと、もう一つの井戸を掘り当ててももう争いは起きませんでした。ゲラル人が追わないほどの距離に移ったのか、イサクが挑発に乗らないのでむなしくなったのか。
イサクはこの井戸を「広い場所」と名付け、「今や、主は我々の繁栄のために広い場所をお与えになった」と賛美しました。

礼拝(23節~25節)

イサクはさらにベエル・シェバへと移動しました。ここはアブラハムが21章で「永遠の神、主の御名を呼んだ。」場所です。

この地でヤハウェはイサクのもとに現れました。ヤハウェは例によって自己紹介した後、「恐れてはならない。わたしはあなたとともにいる」と告げた上で、アブラハムのゆえにイサクを祝福し子孫を増やす、と宣言したのです。
このお告げを受けたイサクは祭壇を築き、父と同じく「主の御名を呼んで」礼拝しました。

キリスト教では祈るときには「天の父なる神よ」というように、主の名を呼ぶことから始まります。
ルカ福音書11章でキリストが弟子たちに教えた祈りかたから来ていますが、それは神と名がつけばなんでもいいというのではない、創造者であるヤハウェを呼んで祈るのです。

友好条約[イサク版](26節~33節)

一方その頃。アビメレク王は、すごい神がイサクについている以上は、追い出したところで内憂が外患に変わるだけと考えたようです。以前にアブラハムと条約を結んだように(21:22-34)、イサクに不戦条約をもとめます。

アビメレクは「アブラハムの神」と言っていますが、ヤハウェをどれくらいわかっていたのか。神々の中でも特に強い神くらいの認識ではないかと想像します。イサクが「追い出したのに」と言っていることを「送り出した」と言い換えているのとあわせて、外交上の口上でしょう。

ともあれ、イサクはこれもヤハウェが自分とともにあることの結果として受けたのでした。
こうして、アブラハムがアビメレクと誓いを交わしたのと同じベエル・シェバで、イサクもアビメレクと誓いを交わしました。

おまけ

聖書は「ベエル・シェバ」の由来を、「誓いの井戸」と記録していますが、アブラハムの時には「7の井戸」が名前の由来と記録していました。

母音の文字がないヘブライ語で、「7(シェバ)」も「誓い(シブア)」も子音が同じになります。こういう語呂合わせで人名や地名を命名する場面が、聖書にはよくでてきます。

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2版:2003年04月10日

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